■不気味な夜の世界を描く『まっくら森の歌』

 最後は、1985年に放送された谷山浩子さんの楽曲『まっくら森の歌』。

 闇の中では物の見え方が違うと、視聴者の子どもに教えてくれる歌詞となっており、暗闇が怖くなるきっかけともなってしまった歌である。

 映像は、猫とネズミの二匹が真っ暗な森に迷い込むというもの。子ども心に夜の世界は怖いもので、卵型の何かが地をはっていたり、目が光る虫がいたりと、映像に出てくる生き物は不気味なものばかりだった。

 中でも強烈なのが、影が強調された巨大な魚が不意に登場してギョロッとカメラに視線を向けるシーンだ。寝ているフクロウが、夜になると急に羽を広げこちらに向かってくるシーンにも肝を冷やしたものだ。

 「まっくら クライ クライ」と繰り返されるフレーズも、どこか奇妙。低めのメロディーになるのも相まって、恐怖感が高まった思い出がある。

 真の歌詞の意味を理解すると、本当は希望があったり、実は楽しい歌詞であったりするのだが、深く考えずに聞くと、ホラー感が強い。今回紹介したのは怖いと言われた『みんなのうた』だが、当時「逆に安心する」という子どももいた。あなたはどう感じただろうか。

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