■悲しいエピソードから生まれた「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

 荒川弘氏の漫画『鋼の錬金術師』に登場したショウ・タッカーが放った「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」も長く使われたミームだ。しかし、元ネタはかなりショッキングである。

 国家錬金術師のタッカーは人語を話す合成獣(キメラ)のパイオニアだが、それは妻を合成するという闇深い経歴によるもので、人外にされた妻は「死にたい」と言い自害していた。近年成果が上がらず焦りを感じた彼は、ついに娘のニーナと犬のアレキサンダーも合成獣にしてしまう。

 家を訪れたエドワードは、二人がいないことを、合成獣が言った「お」「にい」「ちゃ」の言葉で全てを察し、「資格をとったのはいつだったっけ?」「奥さんがいなくなったのは?」と彼に問う。

 続けてエドが言った「もうひとつ質問いいかな ニーナとアレキサンダーどこに行った?」に対する答えが「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」である。悲しいことにニーナはその後、元に戻る事も出来ずスカーに殺されてしまう。

■使いたくなる『BLEACH』のセリフ

 久保帯人氏の漫画『BLEACH』もまた、ミームが多く生まれた作品だった。愛すべき悪役・藍染惣右介が生み出した「憧れは理解から最も遠い感情だよ」や「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」などは、カッコつけながら言ってみたいセリフ、ナンバーワンである。 

 そんな『BLEACH』の中でも特に登場回数が多く汎用性の高かったミームといえば、「何…だと…?」だろう。このセリフは、使うキャラも幅広く「何だって…?」「何だと…」など言い回しの派生も多い。

 作中では技が効いていないときや、キャラが驚いたときなど、ありとあらゆるシーンで使われている。ネット上で使うときも同様に、驚いたときなどに用いられていた。ファンの中には「何…だと…?」の回数をカウントする人もいたほど、話題性があったセリフである。

 次々と誕生している漫画由来のネットミームたち。元ネタをたどると、意外なシーンで使われていることもあって面白い。セリフは知っているけど元ネタシーンを見たことがないという人は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがだろうか。

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