■若者を見守る大人たち……ムウ・ラ・フラガとアンドリュー・バルトフェルド

 アークエンジェルの頼れる兄貴分、ムウ。優しく大らかに艦のみんなを見守り続けた。感情的にも安定し、ポジティブだが決して楽観主義者ではなくシニカルな視点も持ち、バランスのとれた性格のように思う。のちにネオ・ロアノークとなったときは少し硬い雰囲気になったが、それでもムウらしさは健在だった。文句なしの5/5。

 そしてランバ・ラル的ポジションでキラを導いた、「砂漠の虎」ことバルトフェルド。戦時下でも趣味を楽しむ様子などからは、精神的に成熟した大人の余裕が窺える。

 適度なチャラさの中にシニカルさが見えるのはムウと似ているが、もう二、三歩リアリスト寄りの印象だ。その点、女性が思い描くような“優しくて正直な人”ではないだろう。結果は3/5。

■魅力的なラスボス! ラウ・ル・クルーゼとギルバート・デュランダル

 悪役としては最高に魅力的なクルーゼ。終始物腰は柔らかく穏やかだが、腹の底で毒づく場面や、悲観的なモノローグが印象的だ。割とわかりやすく優しくもポジティブでも正直でもない。一方で、部下を叱ることなく言い分を聞くなど鷹揚に対応する場面がよく見られ、器は大きそうだ。結果は2/5。

 最後にデュランダル議長。強い求心力を持つ反面、“愚かな人類を私が導くのだ”という傲慢ぶりにドン引きした女性もいるだろう。

 憐れみに近い優しさ、他者ではなく自分自身に向けられたポジティブさと正直さは、大いに魅力的ではあるものの、女性の求めるものとはズレるように思う。悩ましいところだが、器の大きさと知的で落ち着いた人柄で2/5とした。

 

 以上、『SEED』シリーズの主要男性キャラを採点してみた。今回は『ゼクシィ』の基準を参考にしてみて、ディアッカ、そして、ムウが5/5の最高得点となったが、違う基準で見ればまた違った結果になるだろう。筆者の推しは「砂漠の虎」だが、彼もまた微妙な結果で寂しい限りだ。

 現在も公開中の劇場版だが、公開17周目の5月23日で全国規模での上映終了が決定している。週替わり入場者プレゼントも配布されているので、まだ観ていないというのであれば、劇場に足を運んでみてはいかがだろうか。

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