■圧倒的な迫力の映像が鳥肌もの! ストーリーも壮大で熱中した『ヴイナス戦記』

 最後は1989年3月に公開された『ヴイナス戦記』だ。圧倒的な映像でスピード感もあり、キャラクターの表情も細かい。こんな作品が80年代に製作されていることに驚きだ。

 原作は安彦良和さんのSF漫画で、ファミコンは同年10月にバリエから発売されている。

 ファミコン版はシミュレーションゲームのようなマップに対し、戦闘は3Dシューティングゲーム。当時のファミコンとしては結構攻めた作品で、衝撃を受けた人も多かったのではないだろうか。

 さて、アニメ映画は冒頭のバイクレースシーンから迫力満点。興行成績は振るわなかったと言われているが、とてもそんな風には感じなかった。すでに中学生になっていた筆者の周りでも面白かったという声は多く、女の子にも人気があった作品だった。

 物語の舞台は人類が植民した金星で、主人公のヒロキ・セノオ(通称ヒロ)も移民世代。金星は「アフロディア」と「イシュタル」という2大勢力によって軍事衝突が避けられないほど対立が進んでいる。ヒロはバイクレースのスキルを見込まれ、アフロディアの戦闘バイク部隊の一員としてスカウトされたのをきっかけに、勢力争いに巻き込まれていく。

 本作は戦闘シーンも迫力があるのだが、登場人物たちの対話シーンも多く見られ、途中で中だるみする人がいたのかもしれない。2019年にはブルーレイで発売されたのだが、とても当時のクオリティとは考えられない仕上がりである。

 

 こうして振り返ってみると、80年代のアニメ映画は本当に面白い。定番の『ガンダム』をはじめとして他にもたくさんあるので、機会があればまた紹介していこう。

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