5月1日は「恋が始まる日」! 雷に龍、天女も…好きになった人は人間じゃない『まんが日本昔ばなし』意外すぎた“恋の相手”の画像
アニメ『まんが日本昔ばなし』Blu-ray第1巻 (c)2023 愛企画センター

 毎年5月1日は「こ(5)い(1)」という語呂合わせから「恋が始まる日」とされている。新生活や新学期が始まって間もない時期でもあるので、気になる相手ができた人もいるだろう。

 昔から人を好きになるにはドラマがある。1975年から放送が開始され、昭和〜平成初期時代に人気を博したアニメ『まんが日本昔ばなし』でも、いろいろな登場人物の恋模様が描かれている。ただし本作は昔からの伝説を取り入れたストーリーも多く、人間同士の恋愛ばかりが描かれているわけではない。ここでは『まんが日本昔ばなし』に登場する、“意外な恋のお相手”を紹介しよう。

■人の良い雷様との恋愛『そば屋にむこ入りした雷』

 富山県にある昔話には、人間と雷様が結ばれたストーリーがある。それが『そば屋にむこ入りした雷』だ。

 あるところに身寄りのない美しい娘が、1人でそば屋を営んでいた。すると大雨のある日、雷鳴とともに雷様が落ちてくる。暖簾を見て、そば屋に入った雷様。娘の作ったそばを食べたあとに娘が1人きりなのを案じて、“自分を婿にしてくれ”と頼むのだ。

 恐ろしさから断れずに承諾した娘だったが、その日以来雷様は一生懸命そばを打ち、働き者の亭主となった。

 やがてその噂は広まり、村中の人が雷様のそばを食べに訪れて店は大繁盛。噂は天まで届き、空からお月様やお日様までそばを食べにやってくる。働き者で人の良い雷様は、お勘定でお日様に騙されながらも良しとし、その後も一生懸命働き2人は幸せに暮らしたという終始ハッピーな話だった。

 最初は雷様のことを怖がっていた娘だが、雷様は真面目にそばを打ち、物珍しさから多くの客も呼び込むことができたというサクセスストーリー。しかもお月様やお日様までそばを食べに来る展開は、なんともファンタジーでほっこりする。アニメの絵柄も、ずんぐりむっくりとした雷様がとても可愛らしい。

 結婚前はなんだか怖そうな人で嫌だったものの、結婚してみたら実はとても良い人だったという話は昔からよく聞く。このような恋愛話は、現代社会においても通じるものがあるだろう。

■親の反対を押し切り純情な想いが実った『大沼池の黒竜』

『大沼池の黒竜』は、父である殿様の命令を押し切って結ばれた、姫と黒竜のラブストーリーだ。
 信州にある城主の政盛には、黒姫という美しい娘がいた。ある日みんなで花見を楽しんでいたところ、1匹の白蛇がやってくる。黒姫は蛇にも酒をついでやると、蛇は満足そうに帰っていった。

 その後1人の若者が城にやってきて、黒姫をお嫁にほしいと殿様に申し出る。若者はかつての白蛇であり、大沼池の主の黒竜であると名乗った。しかし殿様は“そんな化け物に姫はやらない”と拒否する。あきらめきれない黒龍が毎日懇願に来ると、殿様は“馬の後を追いかけて城の周りを21周できたら姫をやる”と無理難題を出す。頑張って走った黒龍は疲れのせいで人の姿から竜に変身するも、家来たちに槍で突かれ傷を追ってしまう。

 傷を負いながらも城の周りを21周したが、約束を破られ怒った黒龍は山頂へ飛び、大雨と洪水をもたらし大災害を引き起こす。しかし黒龍の気持ちを知った黒姫は自ら黒龍への元へ嫁いでいくのだ。姫の優しい心を知った黒龍は涙を流し、災いを止めたあとは2人で幸せに暮らしたという。

 殿様が人間ではない黒龍に自分の娘をやりたくない気持ちも分かる。しかし雨のなか土下座をしたり、馬の後を必死で走る黒龍を無下にするのはひどいだろう。その反対に、心優しい黒姫がそこまで自分のことを想ってくれる黒龍に徐々に惹かれていくのも当然のように思える。

 親の反対を押し切り、最後は逃げるようにして結ばれた2人。最近ではそんな熱いラブストーリーは滅多に聞かない気がするが、“これぞ純愛”という美しい話だった。

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