■無数の残像が敵に絶望の運命を決定づける「デスティニーガンダム」
最後は、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場した「デスティニーガンダム」を紹介しよう。
シン・アスカの愛機であるデスティニーガンダムは、背中に巨大なウイングバインダーを背負い、黒と深紅のカラーリングが威圧感を醸し出しているMSだ。
“ヴォワチュール・リュミエール”という惑星間航行システムを軍事転用した技術を搭載したその翼は、発動することでピンク色の光を発し、まるで蝶のような美しい見た目へと変貌する。光の粒子を噴射することで得られる機動力は凄まじく、一騎打ちはもちろん乱戦においても驚異的な加速で敵機を翻弄することが可能なのである。
極めつけは、翼から“ミラージュコロイド”を散布することで作り出されるデスティニーガンダムの残像である。通常の機体では得られない加速と無数の残像をもって敵を幻惑する様子は、まさに蝶のような妖しささえ感じさせる。
まばゆい光の翼とともに残像が尾を引くスピード感ある戦闘のカッコ良さに加え、それを感情のままに駆るシンの猛々しさが見事にマッチしており、シンが乗ってこそのデスティニーガンダムだと感じさせてくれる魅力的な機体である。
兵器という観点から見ても、「翼」という形状が合理的なものなのかは、ファンであっても正直コメントしづらいところではある。しかし人型のMSに翼が生えているということにはデザイン的にも多くの人がカッコ良さを感じることだろう。
それはまたパイロットたちも同じで、車に対する愛着が湧くのと同様に「自身のMSがカッコいい」という事実は、少なからず士気の高揚に繋がっているのではないだろうか?
なんにせよ、本記事を通して筆者が伝えたかったことはただ一つ、「翼はカッコいい」ということである。このシンプルな事実に、多くの人が共感してくれることを切に願う。