■弱くて小さいけど立派なリーダー!仲間のために自らを犠牲にした武道家「チウ」

 さて、最後は小さくて弱いのだが、志だけは立派なリーダーでもあるおおねずみの武道家・チウだ。彼は拳聖・ブロキーナによって邪悪な意思を跳ね返しており、マァムに憧れるほど人間らしい一面を見せている。

 最初は何かと面倒なキャラクターだと思ったのだが、実はチウは非常に仲間思いであった。獣王クロコダインの修行を手伝い、お礼としてもらった「獣王の笛」を使って仲間を増やし、獣王遊撃隊を結成。自らが隊長となる。

 そんなチウの見せ場は死の大地へ潜入するシーン。ここでは、海中に門があることを突き止めるも、ハドラー親衛騎団のフェンブレンに見つかってしまう。

 持ち前の残忍さからじっくりいたぶろうとするフェンブレン。全身の8割が刃物でできているので、攻撃してもチウ自身が傷つくだけ。仲間のためにズタボロになるチウをフェンブレンは罵るのだが、「おまえにはザコに見えるかもしれないけど…」「はじめてできた ぼくの子分なんだ!!!」「隊長は部下を必死で守るものなのだあぁっ!!!」と憤る。

 しかし、フェンブレンは構うことなくチウに自身の刃を突き刺し、ゆっくりと押し込んでいく。絶体絶命のなか、チウは「し…心配するな…」「こ…こんなの痛くもかゆくもないぞ!!」「かならず みんなを助けてやるから 安心しろ…!!」と、気丈に振る舞う。隊員たちはモンスターなのにみんな感涙状態だ。必死の形相のチウがなんともカッコ良かった。

 そんなチウたちを救ったのが、あの竜の騎士・バランだ。バランの心を動かしたのは家族のダイと妻を除けば、命を懸けたポップとヒュンケルのみ。チウって実は凄いんじゃ……?

 

 感動シーンが多い、名作『ダイの大冒険』。どのキャラにも見せ場があり、ドラマチックな展開があるのも魅力だ。実はみんなが勇者じゃないの?と、思えるほどだ。ほかのキャラにもストーリーがあるので、機会があれば紹介したい。

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