■この世界は、きっと何より美しい
歴史の流れや人間の生きざまという人文学的な感動を抜きにしても、やはり本作のテーマである天文学から得られる感動は大きい。人間の価値観が時代によって移ろう間にも、惑星は決まった軌道で静かに動き続けている。この事実にロマンを感じずにいられようか……。
地動説論者の一人であるフベルトのセリフに、「神が作ったこの世界は、きっと何より美しい」というものがある。彼らは地動説によって神を否定したいのではなく、神を肯定しているからこそ、この世界の美しさを証明したいのだ。
“神=創造主”という前提は特定の宗教観のものだが、『チ。』を通して、この世界が美しいということは信じられるかもしれない。それは今の世を生きるうえで、大きな希望につながるのではないか。
以上、『チ。』の魅力をまとめてみた。
アニメ放送は今年スタートということ以外、いまだ詳細は明かされていない。少なくとも春クールではなさそうだから、7月期か10月期スタートになるのだろうか? 待ち遠しいが、宇宙から見れば一瞬にも足らない時間だ、大人しく待つこととしたい。