いましろたかしさんによる漫画を原作にしたアニメ映画『化け猫あんずちゃん』が2024年7月に公開となる。
同作は、お寺で飼われていたら死なずに30年以上が過ぎ、いつの間にか人間の言葉が喋れる化け猫になっていたネコ・あんずちゃんのちょっとおかしな日常を描いた作品。
今回、公開が発表された『化け猫あんずちゃん』では、実写で撮影した映像をフレームごとにトレースしてアニメーションにする「ロトスコープ」という手法がとられている。『カラオケ行こ!』『天然コケッコー』の山下敦弘監督と、岩井俊二監督による2015年の映画『花とアリス殺人事件』でロトスコープディレクターとして参加した久野遥子監督がタッグを組んだ映画で、俳優の森山未來さんがあんずちゃんを演じた「お芝居」をアニメーションに落とし込んでいるという。
またセリフも同時録音され、実際の映画撮影そのままの撮影を敢行するという手法で制作されており、森山さんの声だけでなく動きや表情もあんずちゃんとして表現されているのが見どころだ。
特報の映像を観ても、どこか気の抜けたあんずちゃんの姿に癒されること間違いなしだ。
■俳優たちが演じた「意外な動物の声」
さて、森山さんの他にも、アニメで動物の声を演じた俳優は意外と多い。今回は、ギャップの光る芝居が魅力的だった、動物の声を演じた俳優を紹介したい。
まずは、2023年7月に公開されたスタジオジブリの最新作で、宮崎駿監督の10年ぶりの監督作品となる『君たちはどう生きるか』。
この映画では菅田将暉さんが青サギ/サギ男を演じた。青サギは鳥のようでいて、実は中身は中年の小さな男という、物語を印象づけるふてぶてしくて謎めいたキャラクター。菅田さんはほぼ2役を演じたといってもいいほどの変わりようだった。
何より驚かされたのは、公開前には一切情報が明かされず、予告編などもなかったため、キャストと配役がわからなかったことだ。そのため、個性的な青サギの声を聞いても、菅田さんのものとはわからなかった人がほとんどだろう。もちろん映画のエンドロールに名前は載っていたものの役名は示されていなかったので、正式に発表された後、「カメレオン俳優」とも呼ばれる菅田さんの演技力にあらためて驚いた人は多そうだ。
続いては、2018年に公開された実写映画『ピーターラビット』の吹き替えでピーターラビットを演じた千葉雄大さん。
イギリスの湖水地方を舞台にしたビアトリクス・ポターさんの名作絵本が、CGと実写を駆使して映画化された。
誰もが小さい時に触れ合った馴染みのある作品が現代にカラフルによみがえり、ピーターと都会からやって来た神経質な青年トーマスとのコミカルな攻防は家族で見ても楽しめる内容になっていた。
肝心の千葉さんの演技だが、本人もかわいらしいキャラが売りのためか、ピーター役は意外なほどにハマリ役。ピーターのいたずらっぽいセリフ回しや、うなり声などのちょっとした芝居や効果音も全く違和感なく楽しめた。また作中で披露した歌声も素晴らしく、まさしく名キャスティングといっていいだろう。
ちなみに、続編である『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』では、哀川翔さんがピーターをダークサイドへと導く地下組織の大ボスウサギのバーナバスを演じ、千葉さんとのいいコンビぶりを見せていた。
最後は2020年公開の映画『ドクター・ドリトル』。動物と会話できるという特殊能力を持った獣医であるジョン・ドリトルの周りを取り巻く動物たちの声の吹き替えは、実力派声優に混じってさまざまな俳優が担当している。
ドクトルの親友でもあるオウムのポリーを石田ゆり子さん、ダチョウのプリンプトンを八嶋智人さん、マフィア・アリを霜降り明星の二人が演じており、表情豊かな動物たちを見事に表現している。ちなみに、石田さんは『もののけ姫』『平成狸合戦ぽんぽこ』『コクリコ坂から』など多数のジブリ映画で声優を経験。また、八嶋さんも声優の経験が多くあり、声だけの演技もさすがの一言だ。
人間の声を演じるのとはまた違った「動物の声」を担当した俳優たち。その姿には役者としてのプロ魂が見てとれる。