『転スラ』『このすば』『無職転生』…今からでも間に合う!春から続編スタート「なろう系アニメ」の人気作の画像
アニメ『転生したらスライムだった件』(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 (C)柴・伏瀬・講談社/転スラ日記製作委員会

 小説を無料で投稿、閲覧することができるWEBサイト『小説家になろう』。その中でも人気があるジャンルが、主人公が現実世界から異世界に「転移」もしくは「転生」する作品だ。このような小説が『小説家になろう』内で人気を博したことから、これらのジャンルは「なろう系」とも呼ばれており、これまで数々の作品がコミカライズ、アニメ化されてきた。 

 2024年4月からスタートする春アニメでも、「なろう系の代名詞」ともいえる人気作が登場する。今回は、春から続編の放送が開始する、そんな「なろう系アニメ」人気作品をいくつか振り返りたい。

■サラリーマンが転生したらスライムになっていた!幅広い世代に愛される作品

 まずは、伏瀬氏による小説を原作としたアニメ『転生したらスライムだった件』、通称「転スラ」だ。

 もともとは2013年から『小説家になろう』で発表されたWEB小説だが、漫画、スピンオフなどの作品が多数出版され、関連書籍を含めた累計発行部数は4000万部を突破。ライトノベルや「なろう系」というジャンルではくくれないほどの大ヒット作となった。

 物語は、現実世界で働くサラリーマン・三上悟が通り魔に刺されて死亡するところから始まる。気がつくと異世界に「スライム」として転生(現実世界とは異なる人物、または生物や無機物として記憶だけ引き継ぎ生まれ変わること)していた。 

 三上はその世界で「リムル=テンペスト」を名乗ることになる。本来は生息域から出ることのない最低クラスのモンスターであるスライムだが、転生時に「大賢者」と「捕食者」というスキルを獲得する。

 リムルは暴風竜ヴェルドラやオーガにゴブリン、牙狼族などの様々な種族の友だち、配下を増やしていく。そして多種族が集まっても争うことなく、快適に過ごすことのできる国を作ることになる。

 以上が『転スラ』の大まかなストーリーだ。この作品はいわゆるエログロ的な要素が控えめで、作品のトーンも明るいことから児童書籍化もされており、小学生から大人まで楽しく見ることのできる内容になっている。 

 一見すると子ども向け作品に見えてしまうかもしれないが、大人が見ても十分に楽しめる。リムルたちが一から国を作っていく様は、ゲームで言うと建国シミュレーションのような面白さがあり、バトルシーンは少年マンガのような熱さがある。今回紹介する中では対象年齢が最も広く、親子で観るのにもオススメだ。 

 これまで2期までのアニメが制作されており、4月5日から日本テレビ系ほかにて待望の第3期がスタート。さらに『転スラ』の世界を楽しみたい人は、『転スラ日記』、『転生したらスライムだった件 OAD』、劇場版の『紅蓮の絆編』『コリウスの夢』といった番外編的な作品を見るといいだろう。

■どこか残念で個性豊かな仲間との冒険

 続いては暁なつめ氏が「自宅警備兵」名義で『小説家になろう』に発表した小説を原作としたアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』、通称「このすば」だ。

 主人公の佐藤和真(以下、カズマ)が、現実世界の事故で命を落とすところから物語は始まる。カズマは天界で女神・アクアに、魔王を倒すために異世界へ転生してほしいという話を持ち掛けられる。

 転生する際に、能力など何かひとつだけ異世界に持っていけるという条件を持ちかけられたカズマは、アクアから前世で「引きこもり」だったことをバカにされた腹いせに、彼女を異世界に持っていくことに決めるのだった。

 異世界に転生し、カズマは運勢だけ異常に高いが普通の冒険者、アクアは運勢と知性が低いが他のステータスが高いアークプリーストとなる。

 その後、「人類最強の攻撃魔法」と言われる爆裂魔法を使うことができるが、一度使うと魔力が切れて倒れてしまい他の魔法はからっきしなアークウィザードの「めぐみん」、そして防御力は高いが攻撃が全く当たらない「ダクネス」らとパーティを組み、冒険をしていくことになる。

 上記でもわかるように、『このすば』はコメディ作品だ。魔王を倒すためにパーティを組んで冒険をする、というファンタジーの王道的なストーリーではあるが、シリアスな展開はほぼ存在せず、終始笑いながら楽しく観ることができる。

 『このすば』は、4月10日よりTOKYO MXほかにて、アニメ3期の放送が開始される。その前にアニメ1期、アニメ2期、劇場版を見ておけば、より楽しむことができるはずだ。『この素晴らしい世界に爆焔を!』というめぐみんが主役のスピンオフ作品も制作されているので、気に入った人はこちらもチェックしよう。

■なろう系の金字塔的作品

 最後に紹介するのは、理不尽な孫の手氏が2012年から『小説家になろう』に発表した小説を原作としたアニメ『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』だ。

 なろう系の金字塔、パイオニアとも呼ばれている作品で、シリーズ累計発行部数は1485万部を数える。

 主人公は高校時代のいじめが原因で34歳まで引きこもっていた男。家から追い出されたところ、トラックに轢かれそうになっている高校生を助けようとして事故死する。

 目が覚めると元冒険者夫婦の息子「ルーデウス・グレイラット」として、記憶を引き継いだまま異世界に転生していた。ルーデウスは前世での後悔から、この世界では全力で生きて行こうと決意する。

 ファンタジー的なバトルシーンや練りこまれた世界観も、もちろん見どころではあるが、トラウマ、家族、人間関係などの骨太なテーマが描かれている作品でもある。アニメ化に際しては制作側も力を入れており、『無職転生』のためにアニメ制作会社「スタジオバインド」を設立したほどだ。

 これまで放送されたアニメは、1期全23話と2期第1クール全13話。春からの続編を楽しむために、一気に追いつくことも十分可能だ。

 以上、春から新シーズンがスタートする作品を紹介したが、一言に「なろう系」と言ってもいろいろな作品がある。続編が始まるこのタイミングで見てみてはいかがだろうか。