■本場の“格闘技”を活かした意外な配役…『るろうに剣心』須藤元気

 2012年に公開された映画『るろうに剣心』は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された和月伸宏さんの大人気漫画を原作としている。

 かつて“人斬り抜刀斎”と呼ばれ恐れられた剣士・緋村剣心を主人公に、彼と出会うさまざまな強敵との激闘を描いたアクション作品で、実写化としてはこれまでに5作品が公開され、いずれも大ヒットとなっている。

 第1作となる本作では原作の“観柳邸突入”までが映像化されているのだが、本来は登場しない別時間軸のキャラクターたちも先んじて登場している。そのうちの一人が、観柳邸で剣心らを迎え撃った刺客の一人・戌亥番神だ。

 原作では物語終盤に登場する戌亥だが、映画版では剣心らの前に立ちはだかり仲間の一人である相楽左之助と激しい肉弾戦を繰り広げた。

 そんな戌亥を演じたのが、総合格闘家として活躍し、現在では政治家としても活動している須藤元気さんだ。須藤さんは格闘家としてはもちろん、数々のドラマや映画にも出演しており、歌手やパフォーマンスユニットを立ち上げるなど実にマルチな活躍を見せている。

 格闘家時代から「変幻自在のトリックスター」、「騙し討ちのアーティスト」といった数々の異名を持っていた須藤さんだが、戌亥のアクションシーンでも当時培った格闘技のノウハウが存分に活かされている。

 ちなみにこの戌亥、原作漫画版では傍若無人な自信家として描かれているのだが、映画版では菜食主義者のクリスチャンという設定が追加されており、どこか物腰柔らかなキャラクターに変貌していた。

 原作のキャラクターからはかなり異なった味付けとなっているが、須藤さんが演じるオリジナルの戌亥番神像にぜひ注目してみてほしい。

 

 それぞれのフィールドで活躍している“スポーツ選手”たちだが、映画では普段の競技とは異なる“演技”という分野で観客、もとい視聴者たちを盛り上げてくれる。

 彼らが実写映画のなかで見せる“役者”としての新鮮な姿も、映画を盛り上げる要素の一つといえるだろう。

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