『北斗の拳』ユダの“血粧嘴”や『るろうに剣心』志々雄の“火産霊神”も…決まっていたらどうなった? 漫画に登場した“不発に終わった大技”3選の画像
『るろうに剣心』新京都編 後編 光の囀[Blu-ray](アニプレックス)

 ド派手な演出や凄まじい威力で場面を盛り上げる“必殺技”は、まさにバトル漫画の華といえるだろう。だが一方で、さまざまな理由から作中で“不発”で終わってしまった悲しい技もいくつか登場している。思わずその威力や効果を想像してしまう、“不発”になった大技たちを見ていこう。

■妖しくも美しい南斗紅鶴拳・奥義!『北斗の拳』血粧嘴

 1983年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『北斗の拳』は、原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏のタッグが送る大人気格闘漫画だ。荒廃した世紀末の世界を舞台に、主人公・ケンシロウをはじめさまざまな“猛者”たちが集結し、身につけた個性豊かな拳法や闘法で戦っていく。

 多種多様な流派が登場することから多数の“必殺技”が場面を彩る本作において“不発”に終わった大技といえば、南斗紅鶴拳の使い手・ユダの放った奥義「血粧嘴」だろう。

 ユダが南斗水鳥拳の伝承者・レイとの激闘にて放った技で、彼にとどめを刺すために繰り出された。しかし、レイが放った奥義「飛翔白麗」によって空中に回避され、そのときの彼のあまりの華麗さに心を奪われたことでそのまま敗北してしまう。

 作中で見せたのは発動時の構えのみで、長らくその全貌は謎に包まれ続けていたのだが、それゆえに派生作品やゲームなどではさまざまな形の「血粧嘴」が描かれることとなった。

 まず、スピンオフ作品、ゲーム作品ともに多いのが“連続で素早い突きを繰り出す”という点。嘴(くちばし)の文字が使われていることから、鳥を模した突きを繰り出す技といった解釈がなされているようだ。

 また、真空波やオーラを飛ばす“遠距離攻撃”のような形も見受けられ、複数連打したり、鋭利な一撃で致命傷を与えたりと、こちらもいくつかのパターンがある。

 さらには自分自身が突進し、“ドリルのように相手を貫く”といった大胆な解釈もあったりと、作品ごとにまったく異なるアレンジを加えられているのは面白い点だろう。

 いずれにしても南斗紅鶴拳が持つ技の“切れ味”、そしてユダというキャラクターが追求しようとしていた“美しさ”を見事にミックスさせた、強烈かつ鮮やかな“必殺技”である。

■すべてを焼き尽くす“終”の炎!『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー』終の秘剣・火産霊神

 1994年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載を開始した、和月伸宏氏の『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー』は、「不殺」(ころさず)を誓った伝説の剣客・緋村剣心が数々の強敵を相手に「飛天御剣流」の技を武器に立ち向かっていく剣戟バトル漫画だ。

 本作では刀による斬り合いはもちろん、超人的な身体能力から繰り出される数々の“必殺技”も魅力の一つ。なかでも作中通して剣心を苦しめ、最後までその圧倒的な実力で大立ち回りを見せたキャラといえば、屈指の強敵・志々雄真実だろう。

 志々雄は京都編の大ボスで、全身の大火傷を隠すために体中に包帯を巻いたミイラのような姿がインパクト大なキャラクターだ。彼の武器は「無限刃」と名付けられた特殊な日本刀で、ノコギリのような細かい刃を持ち、そこに染み付いた“人間の脂”を使い刃そのものを発火させて戦う。

 志々雄はこの“炎”を使った多彩な技を得意としており、斬撃と火傷を同時にもたらす「壱の秘剣・焰霊(ほむらだま)」や、手甲に仕込んだ爆薬を炸裂させる「弐の秘剣・紅蓮腕(ぐれんかいな)」など、いずれも型破りなものばかりだ。

 そんな志々雄が剣心との最終決戦で放ったのが、彼の最終奥義ともいえる大技「終の秘剣・火産霊神(カグヅチ)」だった。

 愛刀「無限刃」の発火能力を全開放することで、刃を中心に巨大な“火炎の渦”を生み出す大技だが、剣心が放った飛天御剣流の奥義「天翔龍閃」が一手先に炸裂したことで、その刃が剣心に届くことはなかった。

 のちに展開された外伝漫画やゲーム作品では、斬るとともに巨大な“火柱”で包んでしまうという、もはや剣術を超越したまさに“必殺技”として描かれていた。

 作中では不発に終わったものの、もし炸裂してしまっていたら、剣心といえども無事では済まなかったかもしれない?

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