古来より日本人が愛用してきた“着物”は、衣服でありながら一つの芸術品のように着る者をより魅力的に引き立ててくれる。漫画の実写映画でも、多くの女優たちがこの“着物”を身に纏った艶やかな姿を披露している。今回は、着物姿で視聴者を魅了した女優たちについて見ていこう。
■シーンごとに変わる絢爛豪華な衣装に注目…『xxxHOLiC』柴咲コウ
2003年より『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載を開始した『xxxHOLiC』は、女性漫画家集団・CLAMPが贈るファンタジー漫画作品だ。
さまざまな悩みを抱える客たちが、対価を払えばすべてが叶う不思議な“ミセ”を訪れるという非日常の世界観が描かれる作品で、その高い人気から続編はもちろん、アニメ、OVAといった数々のメディア展開も果たしている。
2022年には『ホリック xxxHOLiC』のタイトルで実写映画化されており、主人公役の神木隆之介さんをはじめ、豪華な俳優陣が起用されることとなった。
そんななか、本作のメインヒロインであり、願いを叶える“ミセ”の店主である女性・壱原侑子を演じることとなったのが、柴咲コウさんだ。『バトル・ロワイアル』や『世界の中心で、愛をさけぶ』といった数々の有名映画に出演する実力派俳優だが、本作では物語のキーパーソンとして活躍する女性・壱原侑子役をつとめた。
侑子といえばシリーズを通してミステリアスな女性として描かれており、「次元の魔女」や「極東の魔女」といった異名を持つ圧倒的な存在感が最大の特徴だ。加えて彼女は登場するたびに常に異なった“衣装”を身に纏う設定を持っており、柴咲さんはなんと作中10着以上の多種多様な衣装に袖を通している。
この衣装のなかには“着物”も含まれているのだが、漫画実写化作品ということもあり実に大胆かつ奇抜なデザインのものが多い。緑の打掛に幅広の帯を合わせた“花魁風”のものや、大胆に肩を露出させた牡丹柄の“着物風ドレス”などなど、スクリーン上で“映える”ものばかり。
絢爛豪華な衣装はもちろん、柴咲さんは演技中の声のトーンや細かな仕草を徹底することで、侑子が放つ強烈な“カリスマ性”を見事に再現してみせている。着物の存在感に決して負けることのない圧巻の演技に、ぜひ注目してみてほしい。
■衣装とプロポーションが成し遂げる完成度の高さ…『銀魂』菜々緒
2003年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された空知英秋さんの『銀魂』は、宇宙人の襲来を受けた架空の江戸時代を舞台にした、バトルあり、笑いありの新感覚コメディ漫画だ。熱さと笑いの融合が実に小気味良く、その凄まじい人気から15年半にわたる長期連載作品となった。
本作は実写版映画も高い評価を得ており、2017年には同タイトルの第1作目が、2018年には続編である『銀魂2 掟は破るためにこそある』が公開されている。
数々の豪華キャストが名を連ねるなかで独特の“着物姿”を披露した女優といえば、第1作目で来島また子を演じた、菜々緒さんである。
映画の出演はもちろん、月9ドラマや大河ドラマといったさまざまな場面で活躍している女優だが、本作では主人公・坂田銀時たちの敵として立ちはだかる“鬼兵隊”の一員として登場。
また子は語尾に「~ッス」をつけて話す気質の荒い女性で、なにより特徴的なのは金髪で片側だけのハーフアップと、へそ出しスタイルの真っ赤な“着物”だ。上下がセパレートになっており、肩、へそ回り、太腿から先があらわになったかなり露出度が高い衣装。材質こそ和風の生地ではあるものの、あらわになったウエストやローウエストのミニスカートを着て、腰には帯ではなくベルトを巻いているなどかなりオリジナリティの高いコスチュームとなっている。
衣装の再現度はもちろんのこと、なによりその軽装を身に纏った菜々緒さんの抜群のプロポーションにも驚かされてしまう。破天荒な言動や、その圧倒的なヴィジュアルはまさに“完全再現”にふさわしく、原作ファンも納得の仕上がりとなっていた。
へそ出しスタイルという奇抜な“着物”を、洗練されたスタイルによって見事に着こなした女優である。