■「僕は殺したくなんかないのに!」鑑賞が100倍面白くなるキラ・ヤマトの名ゼリフ
本作はC.E.(コズミック・イラ)71を舞台にしたテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』と、C.E.73を描く『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編となる、C.E.75を舞台にした物語。
シリーズの中心人物であるキラ・ヤマトには次々と事件が降りかかり、物語初期では頼りない印象を受ける彼が、徐々にパイロットとして成長していく姿が描かれる。今回は映画の公開を機に、キラが作中で発した胸が熱くなる名ゼリフをいくつか紹介したい。
民間人として戦争に参加したキラが、パイロットとして成長していったきっかけのひとつが、PHASE-21「砂塵の果て」で描かれた、砂漠の虎と呼ばれるアンドリュー・バルトフェルドとの戦いだ。激戦の末、バルトフェルドを倒したキラは「僕、僕は……殺したくなんかないのにぃぃ!」と、涙を流して叫ぶのだった。
その前々回のPHASE-19ではバルトフェルドから「(この戦争を)どこで終わりにすればいい? 敵である者を、すべて滅ぼして……かね?」と問われており、このときの戦いでも彼は「戦争には明確な終わりのルールなどない」「戦うしかなかろう、互いに敵としてある限り」と戦う姿勢を崩さない。本来、人を殺すことなど到底できないはずのキラは、仲間を守るために戦うべきか葛藤し、降伏しないバルトフェルドにトドメを刺すのだった。
前述したように、キラとアスランの友情・戦いは、本シリーズの大事な要素のひとつ。その2人の戦いは、『SEED』中盤で一応の決着がつく。イージスガンダムの自爆によって死んだと思われたキラは、一命を取り留め、ラクスの邸宅で療養していた。戦争についてじっくりと考えたキラは、地球に戻って戦うことを決意する。
そのときに発したのが、ラクスに理由を問われた際の、「何もできないって言って、何もしなかったら、もっと何もできない。何も変わらない。何も終わらないから」というセリフだ。バルトフェルドの「戦争はどうなれば終わると思う」という問いに、自分なりの答えを見つけた瞬間だった。
『SEED DESTINY』におけるプラント最高評議会議長のギルバート・デュランダルは、遺伝子情報により適正職業に振り分けるというデスティニープランの構想を公表する。しかし、デスティニープランを「自由意志の封殺」とする反対派は、徹底抗戦する。
そしてメサイア攻防戦にてデュランダルと対峙し、キラがデスティニープランを真っ向否定したセリフが、「だから明日がほしいんだ! どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌なんだ!」という叫び。人間の選択は、ときに過ちを犯しながらもより良い未来を作っていけるという強い意思が感じられる名言だった。
前述したとおり、ロケットスタートを切った劇場版最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。歴代劇場作品では最高記録となっている1982年の映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』(約23億円)を超えるのも夢ではないだろう。ガンダム史上、歴史的名作となる可能性を秘めた『FREEDOM』を鑑賞しに、劇場に足を運んでみてはいかがだろう。