■意外と妙な名前が多かった『DEATH NOTE』
反対に、名前が短すぎるキャラも存在する。例えば大場つぐみ氏原作、小畑健氏作画による漫画『DEATH NOTE』に登場する死神「ヌ」がその例だ。
『DEATH NOTE』は、シリアスなストーリーの中に意外と妙な名前の犯罪者がたびたび登場した。例えば夜神月(やがみライト)に最初に殺された通り魔の名前は「音原田九郎」だった。このほかにも「恐田奇一郎」「金欲銀造」など、いそうでいない名前が多用されている。名前をノートに書くだけで死んでしまうという設定上、犯罪者の名前が実際の読者と同じものになることを避けるための、制作サイドの気遣いだろう。
そう考えるとのちのちメインキャラクターにまでなる、学生時代の月(ライト)の彼女の「高田清美」という平凡な名前が一層浮いて見える。なお、そもそも耳慣れない「月(ライト)」という名前も、同作を機に実際に名づけで使われることがあるようだ。
多くの死亡者の名前が出てくるのは、藤本タツキ氏による『チェンソーマン』もそうだ。コミックス9巻では何ページにもわたってページを埋め尽くすほどの死亡者の名前の一覧を掲載。その中にある名前たちは、名前こそみなカタカナであるものの『DEATH NOTE』とは対照的に、実在してもおかしくない普遍的な名前ばかりで、銃の悪魔の恐ろしさを読者に認識させる演出だった。
このように、漫画にはついツッコみたくなる名前が多く登場する。しかし、インパクトという観点で言えば作者のアイデアの大勝利かもしれない。