学園が舞台となる作品において、登場人物たちの共通衣装になることも多い“学ラン”。日本の学園では黒を基調としたものが一般的だが、漫画やアニメ作品では対照的に“白い学ラン”を身に着けるキャラクターも数多く登場している。今回はどこかクセが強めな、“白い学ラン”を身にまとうキャラクターたちについて見ていこう。
■“覚悟”を内に秘めた熱き男… 『覚悟のススメ』葉隠覚悟
山口貴由氏の『覚悟のススメ』は、荒廃した近未来の東京を舞台に、主人公・葉隠覚悟が数々の強敵たちと戦っていくバトル漫画だ。
覚悟は短く整えた黒髪に眼鏡、そして“白い学ラン”がトレードマークの、非常に物静かな雰囲気を身にまとった学生である。普段はあまり感情を表に出すことはない彼だが、人々を脅かす“戦術鬼”を相手取る際は、しばしば内に秘めた激情をあらわにしており、それゆえに作中で放った熱い名言も多い。
彼が戦闘時に身に着ける“強化外骨格「零」”は、圧倒的な防御力と攻撃力を秘めている。いわゆる“パワードスーツ”という類の兵器なのだが、なんとこの骨格には開発段階で犠牲となった数多の“英霊”たちの魂が宿っており、彼らが認めた者以外は身に着けることができない。
覚悟は骨格に宿った者たちの怒りや悲しみを感じ取り、なんと自身も同じ痛みを負うため、手刀による切腹と斬首を敢行。これにより英霊たちは覚悟を主と認め、力を貸してくれるようになったのである。
さらに覚悟の“零式防衛術”も組み合わされば、まさに“鬼に金棒”。作中で数々の怪物が立ちはだかったが、そのたびに身に着けた兵器と格闘技、そして“正義”への熱い思いで戦い抜いた。
まさにその名の通り、静かな雰囲気の裏に凄まじい“覚悟”を秘めた、漢気あふれるキャラクターだ。
■その強烈なギャップもむしろ魅力? 『うる星やつら』面堂終太郎
高橋留美子氏の『うる星やつら』は、女好きで浮気者な高校生・諸星あたると、宇宙人の美少女・ラムが繰り広げるドタバタラブコメディ作品だ。作中にはさまざまな学生たちが登場するのだが、中でも“白い学ラン”を身に着けているキャラといえば、あたるのクラスメイトの一人・面堂終太郎である。
面堂は凄まじい財力を持つ面堂財閥の跡取り息子だ。プライドが高いせいで傲慢な態度をとることも多く、男子生徒からの評判はすこぶる良くない。しかし一方で、女性に対しては優しく接するため女子生徒からの人気は高く、これも相まって男子とは敵対しがちだ。
眉目秀麗で金持ち、少々イヤミなところはあれど非の打ちどころがなさそう……と思われた彼だが、すぐにその意外な一面がいくつもあらわになった。
まず、ラムの占いによれば面堂は「ダーリン(あたる)と同じレベルのアホ」で、男子生徒からも「面堂から金と権力をとると、あたるになるのか」と納得までされてしまう。また女性の好みも独特らしく、どこか普通ではない人物に惹かれる傾向がある。
さらに作中では、極度の“暗所恐怖症”かつ“閉所恐怖症”であることも明らかに。女性がそばにいるとなんとか自分を保てるのだが、それ以外の場面では激しく取り乱し、「暗いよ~ せまいよ~ こわいよ~!!」とわめいてしまうこともあるほど。ついには閉所から無理やり脱出するため、凄まじい腕力を発揮する“釣鐘割り”なる大技まで編み出してしまった。
どんな人間にも欠点や弱みはあるものだが、それにしてもステータスと内面のギャップが激しすぎる、なんともユニークなキャラクターである。