『呪術廻戦』や『キューティハニーF』にも… 肉親同士だからこその確執! 姉妹・兄弟への恨みを募らせるキャラの画像
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 関係が親密であればあるほど、一度こじれるとなかなか修復が難しい。それが、肉親である姉妹・兄弟ならなおのことだ。そして漫画やアニメにも、姉妹・兄弟に恨みを募らせるちょっと厄介でかわいそうなキャラがいる。

 そこで今回は、有名漫画やアニメから姉妹・兄弟への恨みを募らせるキャラを3人紹介。なぜそんなに関係がこじれてしまったのか見ていこう。

■『呪術廻戦』禪院真依

 まず、芥見下々氏の『呪術廻戦』に登場する禪院真依。真依は、双子の姉・禪院真希に強い敵意を抱いている。

 真依は、京都府立呪術高等専門学校の2年生だ。呪術界御三家と呼ばれる禪院家で、術式や呪力を持って生まれた。しかし呪力量が少ないせいで、呪術の才能第一の禪院家では冷遇されている。一方、姉の真希は、京都校の姉妹校でもある東京都立呪術高等専門学校の2年生。術式も呪力も持たないせいで家では迫害されてきたものの、その逆境をバネにして呪術師としての道を邁進している。

 ではなぜ真依は、呪術師として同じ道を歩んでいる姉・真希をそんなに憎んでいるのか?それは、真希が突如家を出て行ってしまったことが理由となっているようだ。幼い頃は、禪院家で冷遇を受けながらも手を取り合って過ごしていた姉妹。しかしある日、真希が禪院家を去ってしまう。これは「次期当主になるため」ひいては「冷遇されている妹の真依の居場所を作るため」という覚悟あっての行動だったものの、真依は“置いて行かれた”という寂しさや裏切りを感じ、強い恨みを抱くようになる。

 アニメ第17話『京都姉妹校交流会ー団体戦③ー』では、その姉妹の直接対決が叶うも、身体能力に優れる真希が真依を圧倒。敗れた後の「なんで一緒に落ちぶれてくれなかったの?」という言葉からもうかがえるように、呪術師なんか関係なく、真依はただ真希と一緒にいたかっただけだったのかもしれない。

■『タッチ』柏葉英二郎

 あだち充氏の『タッチ』にも、兄に恨みを持つ柏葉英二郎というキャラが登場する。

 英二郎は、西尾茂則監督の体調不良をきっかけに明青学園野球部に赴任してきた監督代行。本来は、優秀で人格者でもある兄の英一郎が監督代行になるはずだったが、手違いで英二郎が就任している。英二郎は野球のスキルや知識にかんしては確かなものを見せる一方、兄への恨みを晴らすかのように、明青学園野球部に対して横暴な態度をとり続ける。

 英二郎が強い恨みを抱いているのは、英一郎が高校3年生のときに起こしたバイク事故が原因である。このとき、野球の有力選手かつ優等生だった英一郎を守るため、両親が弟の英二郎を身代わりに仕立て上げるというとんでもない行動に出たのだ。さらに英一郎は、野球の才能に恵まれる弟が甲子園に出てしまうと事件の真相がバレかねないと恐れ、後輩たちにイジメを指示することで彼を退部に追い込んだのだった。

 そんな英二郎であったものの、物語が進むにつれ心境に変化が現れ始める。そしてついに、アニメ第95話『祝・決勝進出! 運命は柏葉の手の中に!』で退院してきた西尾監督に「任せたぞ、柏葉英二郎」と言われ、兄・英一郎ではなく自分に野球部を託されていることを認識。決勝戦では視力をほぼ失っているにもかかわらず、的確な采配によって部を勝利に導いている。それはまさに、英二郎が兄にまつわるトラウマから解き放たれた瞬間だった。

■『キューティハニーF』葉月聖羅

 最後に、永井豪氏による『キューティーハニー』のリメイク版アニメ『キューティハニーF』から、葉月聖羅を紹介する。

 聖羅は如月ハニーと同じ空中元素固定装置の種子から生まれた人工生命体であり、つまりハニーの双子の妹ということになる。聖チャペル学園に突如転校生として現れた彼女は、出会った当初からなぜかハニーをひどく憎んでおり、敵意むき出しの態度をとってくる。

 聖羅がハニーを激しく憎んでいるのには、偽りの記憶が関係していた。聖羅は生まれたばかりの頃、敵のパンサークローにさらわれており、その際ハニーや父を憎むよう嘘の記憶を植え付けられたのだった。前述の真依や英二郎とは違い、洗脳によって実の姉を憎まされてしまっている点が、さらに悲しい。

 そんな聖羅だったが、アニメ第22話『炎の中に聖羅死す! 父の愛を胸に』では自分に対する父の愛を知り、最終的には姉を守るためにダークパンサーと相打ちになり消滅してしまう。ハニーの妹で人気キャラでもあった聖羅が物語中盤でリタイアしたことで、当時視聴者には衝撃が走った。

 ちなみに最終回では、聖羅と名付けられたハニーの娘が登場する。ハニーの亡き妹への思いが感じられるいいシーンだった。

 

 今回はさまざまな理由から姉妹・兄弟を恨むキャラたちを紹介してきた。

 恨みの理由には、過去の裏切りや仕打ち、嫉妬、さらには敵の策略などさまざまな理由があった。しかしいずれのキャラも、肉親同士だからこそ関係がこじれてしまったという面もあり、それゆえの虚しさや悲しさは共通しているように思える。