『キングダム』呂不韋に『賭博黙示録カイジ』兵藤和尊も…“金に物を言わせて主人公を苦しめる”資産家の悪役ボスキャラ3選の画像
『賭博黙示録 カイジ』第12巻(フクモトプロ)

 漫画にはかなりの資産家が登場するものだ。みんなが『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する中川圭一巡査のようにナイスガイならいいのだが(初登場のころは生意気だった……)、登場する漫画によってはとんでもない悪党だったりする。

 とくに、主人公を苦しめる悪役ボスキャラほど印象深いものはない。そこで、金に物を言わせて主人公を苦しめる、資産家のボスキャラを見ていこう。

■金持ちの次元が違う! 大王暗殺さえもいとわない『キングダム』呂不韋

 まずは、原泰久さんによる大人気漫画『キングダム』に登場する呂不韋だ。もともと商人の呂不韋は、趙で人質となっていた秦の異人(のちの荘襄王)に目を付け、全財産を彼に投資して見事王位につけることに成功。

 呂不韋が異人に接触したとき、昭王(異人の祖父)は健在で、父の太子安国君には子どもが20人以上もいる始末だった。しかしそのなかから、みすぼらしい生活をしていた異人に目を付けるのだからとんでもない目利きだ。

 漫画の設定だけでなく、実在にその通りに行動した人物であり、歴史書「史記」にもあるように商才においては飛び抜けているのが分かる。

 そんな呂不韋は作中でもスケールが大きい。幾度となく主君である大王・嬴政に牙を剥いて暗殺しようと企み、主人公・信や大王の側近・昌文君を苦しめた。

 また、金に物を言わせて自分の思い通りに事を運ぼうとするのも呂不韋のやり方だ。圧巻だったのは食客たちを取り込む場面。大王陣営が勢力を拡大するなか、呂不韋は自身の屋敷に象を放ち、大浴場を作って大パーティーを開いていた。側近だった李斯もビックリ仰天だ。

 しかも国家予算を使っているのではなく、自身の財産を少し使った程度というのだから李斯も二度驚いたことだろう。ここからも彼の資産はケタ違いというのが見て取れる。

 そして、呂不韋は無駄遣いをしない。散財していると見せて、きちんと投資分を回収する算段をしているのだ。彼は自国にとって厄介な存在として描かれているが、あの李牧に冷や汗をかかせるほど、敵国からしても脅威だったのだろう。

 それにしても、この強大な敵に大王陣営はよく勝てたものだと思う。

■指先一つで東京を停電させる影の実力者『100億の男』久我山天善

 国友やすゆきさんによる『100億の男』はビジネス漫画だけに、とてつもない資産家が登場する。それが、主人公・富沢琢矢に100億の借金を背負わせた久我山財閥の総帥・久我山天善だ。

 とはいえ、富沢自身が借金をしたわけではない。彼の母親が蒸発し、連帯保証人になっていた富沢に100億の借金が転がり込んできたのだ。返済のために自宅の家財はすべて売り払われ、着ている服まで没収される始末。やり過ぎだろうと思うのだが、久我山には常識など通用しない。

 裸一貫となった富沢はなんとか久我山グループで働けるようになり、その後、才覚を活かしてビジネスで結果を残していく。

 冷静に考えると、ここまで大きな借金の場合、ほかの方法で対処することもできそうなものだが……ただ、天善にはそんなことをしても意味がないのだろう。なにしろ、ビルの屋上に総理大臣を呼びつけ、指先一つの合図で東京一帯を停電させることができるほどケタ違いの権力を持っているのだから。

 これだけの実力者ならば、おそらく法律なんて意味をなさないのだ。なんとも怖い世界である。

 作中では、天善の長男・善彦や長女・沙貴も富沢の邪魔をしてきていた。ただ、善彦はビジネスで富沢に騙し討ちに遭い失脚。天善は身内だろうと容赦なく切り捨てるのだから恐ろしい。富沢と沙貴は最後で和解もするのだが、まあとにかく“金持ちって怖い”と思えた漫画でもあった。

■人の命も弄ぶ…超悪役金持ちキャラ! 『賭博黙示録カイジ』兵藤和尊

 さて、悪役キャラといえど、先に挙げた久我山天善は富沢を評価して出世させており、経営者としてはまだ理解できるものだった。しかし、福本伸行さんの『賭博黙示録カイジ』に登場する帝愛グループの総帥・兵藤和尊は一味違う。

 兵藤はまさに金の亡者であり、謝罪すら受け付けないという冷血漢。背負った借金を帳消しにしたいのであれば、命を懸けるゲームをクリアしなければならない。運が良かったら生き残れるのだが、基本的に五体満足では帰ることができないのだ。

 とくに残忍さが表れていたのが、スピンオフ作品『中間管理録トネガワ』にて兵藤の用意したゲーム「電流鉄骨渡り」ではないだろうか。地上74mの高さに用意された鉄骨には電流が流れており、手をついたら感電し落下死してしまう。もはや鬼畜の所業なのだが、万が一にも渡り切ってもゴールではない。

 なんとゴールポイントで扉が開くと、気圧の変化による突風で吹き飛ばされてしまうのだ。文字通り“人の命を弄んでいる”のだから、この兵藤なる人物はとてつもない悪役キャラといえる。これをクリアしたカイジだったが、兵藤との直接対決で敗れてしまい、指を切り落とす羽目になっていた。

 その風貌からして常人ではない兵藤だが「やはりゴミの出すアイデアは…ゴミじゃな…!」「命はもっと…粗末に扱うべきなのだっ……!」というように、考え方も普通ではなかった。

 

 ここで紹介した金持ちキャラたちは、みな一代で巨額の財を築いた猛者ばかり。だからこそ発言に重みがあるのだろう。平凡な自分からすればとても理解に苦しむのだが、兵藤会長からすれば「雑魚にはわからぬ」なんて一蹴されそうで怖い。

 まあ、こんな巨悪な面々がいるからこそ、主人公たちの反骨心も芽生えるというもの。主人公の成長のためにも、金に物を言わすキャラというのは必要なのだろうな。

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