肩にトゲトゲ、胸元にスカーフ『機動戦士ガンダム』ファッションも個性豊か!ジオン指揮官たちが着こなしたカッコいい制服の画像
アニメ『機動戦士ガンダム』DVD第1巻(C)創通・サンライズ
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 現場重視の性格で部下からの信頼が厚い人物や、勝利のためなら手段を選ばない人物など、個性的なキャラクターがそろうジオン公国軍の指揮官たち。そんな相手陣営のキャラたちの活躍も、『機動戦士ガンダム』の見どころといえるだろう。ジオン指揮官といえば、印象的なセリフや勇ましい退場などいくつもの名シーンが思い浮かぶが、じっくりと観察してみると、制服の細部までこだわってデザインされているのが分かる。

 そこで今回の記事では、ジオン指揮官たちが身にまとった個性豊かな制服に注目してみたいと思う。

■ドズルの肩トゲトゲ

 まずは、ジオン公国宇宙攻撃軍司令官ドズル・ザビ中将の制服だ。父親似の強面な風貌に2メートル超えの巨体が特徴のドズルの制服は、見た目と性格によく似合う攻撃的なデザインとなっている。ザクのスパイクアーマーを思わせるような、肩につけられたトゲトゲの装飾が印象的だ。

 宇宙要塞ソロモン防衛戦においては、妻子や兵を逃がすため自ら囮となり、最後までジオンの誇りを背負って戦い抜いたドズル。肩のトゲトゲは単なるデザインとして付けられているだけと思われるが、いざ白兵戦となれば、ドズルならそれを利用して敵にタックルを仕掛けてもおかしくはない。

■キシリアの肩に施された羽のような装飾

 続いては、デギン・ソド・ザビの長女でジオン公国突撃機動軍司令官でもあるキシリア・ザビ少将の制服。赤茶色の長髪に面長の顔が特徴のキシリアの制服は、ジオンの実権を握る一族にふさわしく、気品あふれるデザイン。鳥の翼を連想させるような肩の装飾が印象的である。

 そしてキシリアの制服を語るうえでは、普段から身に付けているヘルメットとマスクの存在も無視できない。指揮官が普段からヘルメットを着用しているのは珍しく、マスクで顔の下半分を隠している姿もあまり見かけない。ファンの間ではこのマスクについては、肌荒れを防ぐためとも、戦場の男臭さを毛嫌いしているからとも言われているが、もしかすると人一倍ファッションや美容に気を使っていたのかもしれない。

■マ・クベのカーキ色制服に赤スカーフ

 ジオン公国突撃機動軍に所属し、キシリア直属の第七師団を指揮するマ・クベ大佐。骨董品集めという貴族趣味を持っており、制服も貴族を連想させるようなデザインになっている。ベージュ色の制服に胸元には赤スカーフ、どんなときでも外さないカーキの手袋が印象的だ。

 自分の目に見えるものしか信じず、戦術や戦闘よりも戦争全体を俯瞰的に見る能力に長けているマ・クベ。勝利のためなら手段を選ばない性格で、本来の貴族が持つべき高潔さの欠片もなく、制服のデザインとの間にミスマッチが生まれているところがなんとも皮肉である。

■コンスコンの赤襟に白ストール

 ジオン公国宇宙攻撃軍コンスコン少将の制服にも、細部までのこだわりが見られる。鼻髭と小太り体型が特徴のコンスコンの制服は、ジオンを象徴するカラーともいえる深緑を基調としたデザイン。赤襟と白ストール、白手袋がアクセントとなっている。

 赤色に白ストールといえば、『ピーター・パン』に登場する憎めない悪役キャラ・フック船長が連想される。海賊の船長と艦隊の指揮官という違いこそあれど、適切な戦術をとりながらも、アムロの操縦するガンダムの強さに圧倒されたコンスコンもまた、憎めない悪役キャラといえるだろう。 

■シャリア・ブルの短いマント

 最後に紹介するのは、 第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」に登場した“木星帰りの男”シャリア・ブル大尉の制服だ。カラーリングは一般士官と同じだが、マントの形状と袖口に細かな違いが見られる。マントは通常よりも短く、袖口に赤が取り入れられているもののジオンの模様は入っていない。

 短いマントはケープと呼ばれるアウターの一種で、中世の礼装や軍用品として多くみられたそう。士官らしい気品がありつつも、懐古主義的な要素も取り入れられているデザインが、ニュータイプの割には比較的落ち着きのあるシャリア・ブルによく似合っている。

 ジオン指揮官たちの制服の多くは、その人物の人柄を色濃く反映したデザインとなっている。テレビアニメを視聴する際には、こうした細かな点に注目して見直すのも面白いかもしれない。

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