アプサラスにシャンブロ…大きさこそ強さ!? デカさで相手をビビらせたガンダムシリーズの巨大MA3選の画像
『機動戦士ガンダムUC』Blu-ray BOX Complete Editionより(C)創通・サンライズ

 ガンダムシリーズに登場する兵器はモビルスーツ(MS)とモビルアーマー(MA)に大別される。作品によってもそれぞれの定義は微妙に異なるが、敢えて大まかに言うならMSとMAの違いは、人型かそうでないか、で区別できる。

 厳密には戦場での運用思想が違うと言うべきかもしれない。どちらが有利なのかは戦闘の条件によっても変わってくるだろうが、作中ではしばしばMSとMAの戦いが勃発する。MAは先述の通り「人型である」ことに縛られず特定の条件下で最大限の能力を発揮できるように設計されるため、時として一般的なMSと比較すると非常に大きな機体になることがある。そんな巨大なMAは、純粋な戦力差を考える以前に見た目だけでも相当な威圧感がある。

 そこで今回は、そうした外見だけで恐ろしささえ感じさせるような巨大なMAを紹介していきたい。

■戦場を駆ける“龍”『Vガンダム』ドッゴーラ

『機動戦士Vガンダム』に登場するドッゴーラは、ザンスカール帝国軍、通称ベスパが開発した龍を模した試作巨大MAで、全長369.3メートルもの大きさを誇る。東京タワーの高さを超える全長は宇宙世紀ガンダムに登場する歴代MAの中でも随一の大きさだ。

 一個中隊に匹敵するほどの戦闘能力を有しており、単機で複数のMSと互角に戦える。地球クリーン作戦を阻止するために奇襲を仕掛けたリガ・ミリティアへの迎撃に使用され、「ドラゴンもどき」と呼ばれた。元々は宇宙での戦闘用に開発されたものだが、地球上でも水中での実戦に投入され、リーンホースJr.と交戦の際には人工海洋都市アンダーフックを巻き込んで崩壊させている。

 かなりの巨体のため攻撃が当たりやすいという弱点があるように思えるが、なんと長大に連なる胴体部のパーツは複数のコンテナ状のユニットになっており分割・再合体が可能で、ダメージを受けた部分を切り離したり、巻き付いて拘束したり、複数のパーツが集まってできたブロックで攻撃したりと使い方も自在。見た目よりずっと厄介な機体で、主人公ウッソが苦戦を強いられていたのも頷ける。

 胸部ミサイルランチャーや腕部ビーム・ガン、テールビーム・ガンなど武装も豊富で、さらに、装備した雲形機雷を散布しながらビームを乱射する様はまさにその異名通り雷雲の中を突き進む「龍」を思わせる姿だ。

■執念が結実した高火力『第08MS小隊』アプサラス

機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場するアプサラスは、ジオン公国の技術将校ギニアス・サハリンが生涯をかけ、サハリン家再興という夢を託して開発したMAだ。非武装の飛行能力試験機であるアプサラスI、それに大型メガ粒子砲を実装してマッチングテストを行ったアプサラスⅡを経て、最終型のアプサラスIIIまで全部で3タイプが作られた。その大きさは公式には不明だが、アプサラスIIIは推定144メートルほどだという説も。テストパイロットはギニアスの妹であるアイナ・サハリンが務めた。

 アプサラスI・アプサラスIIで抱えていたミノフスキー・クラフトの電力不足という欠陥を解消するため、アプサラスIIIにはリック・ドム3機分のジェネレーターを搭載、さらにミノフスキー・クラフト自体も倍の2基に増設し、大型メガ粒子砲との併用でもエネルギー切れを起こさないという凄まじい高火力を有する機体に。

 その高火力ぶりはラサ基地攻防戦の最終局面で連邦軍旗艦のピッグ・トレーをも山ごと貫いて破壊するという形で遺憾なく発揮されている。

 劇中のクライマックス、ラサ基地攻防戦の最終局面では、主人公シロー・アマダとアイナが乗るガンダムEz8がアプサラスIIIに突撃したが、コクピットを破壊されギニアスは死亡しながらもメガ粒子砲を放ち相撃ちになってしまった。このとき、連邦軍旗艦のビッグトレーも山ごと貫いて破壊するなど、その高火力ぶりは遺憾なく発揮された。

■暴走の末の悲しい結末『ガンダムUC』シャンブロ

『機動戦士ガンダムUC』に登場するシャンブロは、第一次ネオ・ジオン戦争におけるハマーン・カーンのネオ・ジオンが設計した兵器案を元に、地球のジオン残党軍が6年の歳月をかけて開発した水陸両用の巨大MAだ。陸上戦闘形態は全長31.8メートル、水中巡航形態は全長77.8メートルもの大きさだ。フル・フロンタルには「ハマーンの遺産」と呼ばれている。

 本来は4人以上が搭乗して分担して操縦する仕様だったが、サイコフレームの採用により、ニュータイプ・強化人間ならば1名で操縦可能となったため、ジオンの残党兵でニュータイプの少女ロニ・ガーベイ専用機として完成した。大口径メガ粒子砲や大型アイアン・ネイル、さらに拡散メガ粒子砲との組み合わせによりオールレンジ攻撃が可能となるリフレクタービットを搭載するなど、圧倒的な攻撃力と防御力を誇る。また、その巨体にも関わらず、水陸両面で静粛性と機動性能を発揮する。

 ロニはジオンの残党狩りによって両親を亡くしており、連邦軍への恨みからシャンブロで復讐を果たそうとするが、最終的にサイコミュは暴走してしまう。ロニの制御を離れ暴走するシャンブロだったが、地球連邦軍のパイロット、リディ・マーセナスの搭乗するデルタプラスがコクピットを撃ち抜いたことにより、なんとか止めることができた。シャンブロが市街地を無差別に破壊し尽くす様は、まさに「怪獣」じみた恐怖感に満ちていた。

 今回紹介してきた巨大MAは、いずれもその大きさが示すように破格の火力の高さを誇る。そして、攻撃力のみならず万能に近い性能を備えていることに加え、外見的にもどこか怪物的な異様さがあることが、ただ単に難攻不落だというだけでなく、ある種の不気味さをも際立たせているように思う。

 MSと同様に兵器であることには違いないのだが、巨大MAはその大きさと強さゆえに、戦争の恐ろしさや争いを避けることができない人間の愚かしさといった側面が、より強調されるガジェットだと言えるかもしれない。

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