『ミリピード』や『マックス・ウォーリアー』…ファミコン時代「箱の絵」でビビってたけど“知る人ぞ知る”良作すぎたゲーム3選の画像
ファミコン『スウィートホーム』(編集部撮影)
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 ドクロのイラストがおどろおどろしい『バンゲリング ベイ』(ハドソン)や、実写風の絶叫顔が強烈な『スウィートホーム』(カプコン)のように、ファミコンソフトには恐ろしいイラストをパッケージに起用した作品も少なくはない。ホラーテイストなイラストが強烈だが、遊んでみると意外にも良作なファミコンソフトたちについて見ていこう。

■虫嫌いにはなかなかハードル高し!? 『ミリピード 巨大昆虫の逆襲』

 人によって恐怖の対象はさまざまだが、なかでも“虫”に強烈な拒否感を抱く方は多いのではないだろうか。そんな虫のなかでも、とくに強烈な見た目のものを敵キャラとして起用した作品が、1987年にハル研究所より発売されたシューティングゲーム『ミリピード 巨大昆虫の逆襲』である。

 タイトルにも登場している「ミリピード」とはいわゆる“ヤスデ”のことであり、薬品によって巨大化してしまったヤスデたちをマイシップに搭乗して迎え撃つ……というコンセプトの一作だ。

 画面下部の自機を操ることで迫ってくる虫たちを迎撃していくのだが、画面にはキノコや花といった障害物があるため、これらをかいくぐってうまく弾を当てなければならない。また、「殺虫剤」がいわゆる“ボム”と同じ働きをするため、これを使って周囲の障害物もろとも昆虫を吹き飛ばすといった攻撃方法も可能だ。

 序盤こそ向かってくる敵をひたすら迎撃していくのだが、徐々にその行動バリエーションも増えていき、倒した瞬間に障害物が発生したり、障害物自体を強化したりと、さまざまなギミックも用意されている。

 実にシンプルかつテンポの良いシューティングゲームなのだが、やはりヤスデが堂々と描かれたパッケージは虫が苦手な人にとって最初の関門となるだろう。

 もともと海外で発売された作品を移植したということもあってか、イラストもなかなかリアルなテイストだ。森のなかで虫と戦うマイシップ……と、ゲームの概要を忠実に再現しているものの、ミリピードの外見も非常に生々しく実にインパクト大なパッケージだ。

■未知の生命体と孤独に戦うたった一人の“戦士”の物語…『マックス・ウォーリアー 〜惑星戒厳令〜』

 シューティングゲームはシリアスな世界観を持つ作品も多く、パッケージのイラストもリアルタッチで描かれることが多い。1991年にバップより発売された『マックス・ウォーリアー 〜惑星戒厳令〜』も、そんなリアルテイストなパッケージを持つ一作だ。

 プレイヤーは主人公・マックスを操り、未知の生命体を相手にさまざまな武器で戦いを挑んでいく。

 当時は珍しい斜め上からの視点「クォータービュー」を採用しており、強制スクロールするステージを進み、ステージごとにクリアを目指す。

 作品自体の難易度がかなり高く、一応コンティニュー自体はあるのだが、これを使ってしまうと最終ステージにたどり着けずにバッドエンド確定……というなかなかシビアな作りとなっている。

 未知の生命体はどれもディティールがおどろおどろしく、当時としてはハイクオリティなドット絵も相まって、シューティングでありながらどこか“SFホラー”のようなテイストも感じ取れる一作だ。

 そんな本作のパッケージイラストは、群がってくるおぞましい怪物たちを前に、一人孤独に戦う主人公・マックスの姿が劇画タッチで描かれている。

 未知の生命体の独特なデザインもさることながら、濃い影が張り付いたマックスの表情も鬼気迫るものがあり、彼が壮絶な戦いのなかにいるという緊迫感が伝わってくるだろう。共闘する味方もおらず、大量の怪物を前に孤独に進み続けるマックスの悲哀をも感じとれる印象的なパッケージだ。

■なんとも強烈な世界観『ブラッディ ウァリアーズ シャンゴーの逆襲』

 RPGゲームといえば『ドラゴンクエスト』や『FINAL FANTASY』といったファンタジーを題材にしたものが多く発売されていたが、なかには独特の強烈な世界観を持つ作品も登場していた。1990年に東映動画(現:東映アニメーション)より発売された『ブラッディ ウァリアーズ シャンゴーの逆襲』こそ、そんなオリジナルな世界観がウリとなった一作である。

 まず珍しいのが本作の主人公・ナラシンハの設定だ。いわゆる普通の人間ではなく、獅子神王……ライオンの頭部に人間の体をもつ姿をしている。

 プレイヤーは部族の戦士として自身の軍隊を強化しつつ、世界の脅威となっている教団に立ち向かっていくこととなる。自身の軍隊のレベルを上げながら敵と戦っていく点はオーソドックスなRPGなのだが、本作は「魔法」が登場しない。それゆえ、バトルでは基本的に己の肉体や武器を使った“肉弾戦”がメインとなっている。

 また、ここ一番のバトルではシミュレーションゲームのように軍隊を動かす必要があったりと、本作独自のシステムが採用され、大規模な戦争を再現しているのだ。

 作中では登場キャラクターがあっさり死ぬことも珍しくなく、なぜか車やバイクのようなオーバーテクノロジーが登場したりと、なにかにつけてぶっ飛んだ展開が続いていく。

 そんな本作のパッケージイラストは、獣人の戦士の顔がどんとセンターに据えられ、その下では戦士たちが激しい戦闘を繰り広げるという、なんとも迫力溢れるイラストとなっている。

 ちなみにだが、タイトルは『ウォリアーズ』ではなく『ウァリアーズ』であり、間違ってタイトルを覚えている方が多いそうだ。骨太かつ濃厚な世界観を劇画タッチで鮮やかに再現した、実に強烈なパッケージである。

 

 ファミコンソフトを購入する際、やはり作品の内容を連想させるパッケージイラストは、非常に重要な要素の一つだ。今回紹介した作品はどこか恐ろしい雰囲気のものばかりだが、一方でこういった“知る人ぞ知る良作”というのが眠っているのも、ファミコンソフトの醍醐味と言えるのではないだろうか。

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