とんでもない姿?あまりにも残酷? バトル漫画のもっとも衝撃的だった“初登場”シーン3選の画像
少年サンデーコミックス『からくりサーカス』第1巻(小学館)
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 バトル漫画のキャラの初登場のシーンは、大きな見せ場のひとつ。敵キャラであれば、このキャラがどれだけ強そうか、どれだけ不気味かを読者に分かりやすく示してくれる。

 たとえば冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』ではキメラ=アント編のネフェルピトーの初登場が衝撃的だった。女王直属護衛軍としてコミックス第19巻で登場したピトーは、骨の下に隠れたポックルをわずかな気配で探し出し、脳を直接いじることで念の情報を学ぶ。そしてその後すぐに砦の外に出るや、自分の実力を試すために主人公・ゴンたちの前にあらわれ、実力者であるカイトを殺害した。

 初登場のコマからカイトの生首を膝に抱えるコマまで40ページほどだが、それまで出会った敵とは明らかにレベルの違う強さと禍々しさを見せつけたピトー。こうした演出は、やはり少年誌のバトル漫画では何よりも読者を興奮させる要素ではないだろうか。

■とんでもない姿で部下たちの胸を貫いたシン

 恐ろしい存在として読者に衝撃を与えたキャラでいえば、原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏による『北斗の拳』(集英社)のシンもそうだろう。

 シンはケンシロウの胸に7つの傷を付け、ユリアを奪い去った人物。その姿は極悪非道そのもので、ケンシロウに足りなかった怒りの感情に火をつけることになる。シンはケンシロウを覚醒させてしまったことで「北斗十字斬」を食らい、死まで残り1分と宣告されると、プライドの高さから自ら命を絶った。

 一連の流れで見ても、シンは歴代『ジャンプ』の敵キャラの中でもかなり個性的な人物だが、その初登場は1ページの大コマを使った、一糸まとわぬ姿での登場だった。

 まさかの下半身にも何もつけていない状態で、そのうえ両脇に美女をつきそわせていた。そして彼女たちにガウンをかけてもらうと、そのままの姿で部下を叱責し、ズブズブと胸を貫くのだった。

 力で何でも手に入ることを証明するようなシンの初登場シーンだが、それもユリアが彼に振り向いてくれなかったゆえ。思いが叶わないもどかしさから、鬱憤を晴らすかのように強奪を繰り返していたと考えられる。

 それでも美女を脇に抱えての裸登場はインパクトがある。同じく南斗聖拳の使い手であるユダも同じように多くの女性の前で裸だったが、絵面的にはこれ以上ない見せ方だろう。

■フリーザを一瞬で八つ裂きにした謎の超サイヤ人

 鳥山明氏『ドラゴンボール』(集英社)で、初登場から謎だらけだったのがトランクス。カプセルコーポレーションのロゴの入った服を着て、フリーザ襲撃を待ち構えている。背中には剣をかつぎ、風貌はどのキャラにも属さない。

 まるで情報のないトランクスに驚かされたのはその強さ。機械化してパワーアップしたフリーザを始め、フリーザよりも強いとされるコルド大王までも瞬殺してしまう。しかも直前のエピソードで悟空が変身をはたした超サイヤ人姿まで見せ、終始衝撃的な初登場だった。

 同作では天下一武道会終了後に突如あらわれたピッコロ大魔王をはじめ、宇宙人の腕を食べて雑談するナッパ&ベジータなど、どのキャラの初登場もインパクト抜群。トランクスも、彼の登場によってセル編の幕が開き、悟空とベジータの2世代に渡るストーリー展開が描かれた。こうした幕の継ぎ目のない演出もまた、毎週読者を惹きつけ続けた要素のひとつではないだろうか

■とんでもない残酷シーンを見せつけた最古の四人

 続いて紹介するのは、藤田和日郎氏による『からくりサーカス』(小学館)より最古の四人。

 同作では自動人形との戦いが繰り広げられるが、彼らについてはストーリーがある程度進まないと詳しく知ることができない。そしてその起源を知ることで、人類を絶望に追い込むゾナハ病の真相についても明らかになる。そこで欠かせないのが最古の四人と呼ばれる「アルレッキーノ」「パンタローネ」「コロンビーヌ」「ドットーレ」の4体だった。

 この4体の初登場は、少年漫画を代表するトラウマシーンと言って間違いはないだろう。サーカス団を装ってクローグ村に入ると、ドットーレは近づいてきた子どもの首をはねてお手玉のようにしていた。パンタローネは、村人数十人を潰してひとまとめにして玉乗りにする。アルレッキーノとコロンビーヌはゾナハ病を撒き散らして村人全員を感染させた。そこからも村は一瞬で地獄絵図となってしまう。

 この初登場シーンが怖いところは、人形が笑顔で人間を淡々と殺していることだ。人形ゆえに感情もなく、主人の命令をこなすのみ。唯一生き残ったルシールが最古の四人に憎悪を抱き、200年近く復讐の機会を狙うようになった気持ちにも同情してしまう。

 バトル漫画での主要キャラの初登場シーンはかなり重要な要素だ。衝撃的なものであるほど、先の展開が気になることは間違いない。

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