どう演じてる? 山田孝之、小栗旬、内山信二も…役者のすごさを実感した「実写化で人外キャラ」を見事に演じた俳優の画像
映画『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE スペシャルエディション』

 漫画やアニメが実写化される際、ファンタジー作品では人間以外のキャラクターがどう表現されるかはどうしても気になるところ。特殊メイクにしてもCGなどの技術に頼った方法にしても、うまく世界観に溶け込めないとどうしても浮いてしまうからだ。

 しかし、中には原作ファンをも納得させる再現・芝居を披露した俳優たちもいる。今回は、実写化にあたって人間以外のキャラを見事に演じ切った俳優を紹介したい。

 まずは中村光さんによる漫画『荒川アンダー ザ ブリッジ』から。同作はトップ企業社長の御曹司が自称金星人の少女と出会ったことをきっかけに、荒川河川敷に住むおかしな人たちと生活するギャグ作品で、2011年に林遣都さん、桐谷美玲さんを主演にドラマ化、2012年に映画化された。

 キャスティング発表前に原作ファンが最も気になったのは、自身のことをカッパだと言い張る、明らかにカッパの着ぐるみを着た「村長」と、いつも星形のマスクを被っているミュージシャンの「星」の再現だろう。

 原作漫画でも異色を放つ外見の2人だが、実写作品では村長を小栗旬さんが、星を山田孝之さんが、原作漫画のビジュアルそのままの再現度の高い特殊メイクで撮影に挑んだ。

 山田さんはまだ顔面から「山田孝之」の雰囲気が伝わるものの、小栗さんに至っては眉のあたりの特殊メイクの凹凸もあって、すぐさま「小栗旬」と認識するのは困難。当時小栗さんはインタビューで、自らやりたいと言った役だったが特殊メイクやウエットスーツがとにかく厄介で、撮影時は大変だったことを語っていた。ちなみに、山田さんは小栗さんから出演を誘われたらしいが、こちらも特殊メイクをしての撮影にはかなり苦労したとのこと。

 それでも2人の芝居のクオリティとキャラ再現度の高さにはさすがの一言。原作ファンも文句のつけようのない村長と星だった。

 逆に、人外キャラを逆手にとった再現方法をした俳優もいる。90年代初頭に流行した、吉田戦車さんによる4コマ漫画『伝染るんです。』が2009年に1話1分の実写ドラマ化された際、主役のかわうそを演じたのは古田新太さんだった。

 かわうそは直立歩行して言葉を話すカワウソ(外見はカワウソの着ぐるみを着た太った人間)というキャラで、丸い顔に太い眉毛、小さな目と口と、いかにもキャラクター感のある見た目だ。

 実写化にあたってどうなることかと思ったが、古田さんは、ゆったりとした着ぐるみを身につけてかわうそを表現。驚くべきは、眉毛の部分は着ぐるみの一部となっており、古田さんの顔だけがくり抜かれたように露出している作りだったところ。漫画では素足に見えた足の部分も着ぐるみとなっていた。

 同作が不条理ギャグ漫画というジャンルだったことと、古田さんの仏頂面の独特な立ち居振る舞いが奇跡の融合を見せた作品。もはやなんでもありだった。

 最後は、山田涼介さんが主演を務め、2017年と2022年に公開された映画『鋼の錬金術師』。同作では主人公のエドワード・エルリックらの前に立ち塞がる敵として、ホムンクルスと呼ばれるキャラたちが登場する。

 七つの大罪をモチーフにした彼らのうち、「暴食」の名を持つホムンクルスであるグラトニーは、丸顔で目は白目、低身長で巨体という肥満体の男。人間でもなんでも食べるという不気味なキャラで、映画では彼を俳優の内山信二さんが演じた。

 無邪気な笑顔が不気味な姿は、原作漫画そのもので、内山さんはまさしくハマり役。「食べていい?」という印象的なセリフもバッチリの再現度だった。

 難しい役柄も難なくこなす俳優たちのプロ根性と制作陣の技術力には敬服の念を抱かざるを得ない。「実写化不可能」なキャラもここまで再現されると、好感度が爆上がりだ。

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