昭和、平成、令和と時代を超えて、多くの少女たちを魅了している少女漫画の名作たち。そんな名作を生み出す漫画家のなかには、デビューから現在にいたるまで“恋愛”にスポットライトを当てた作品を描き続けている方々がいる。
そこで今回は、女性漫画家に限定して、今もなお“恋愛”を描いた漫画を生み出し続け、時代を牽引している人たちをご紹介していこう。
■デビューから44年! 実写化作品多数の人気漫画家・いくえみ綾さん
1979年、中学3年生のときに『別冊マーガレット(以下『別マ』)』(集英社)にデビュー作『マギー』が掲載されたいくえみ綾さん。
いくえみ綾さんといえば、『潔く柔く』や『あなたのことはそれほど』をはじめ、多くの作品が実写化されている人気漫画家の1人だ。
彼女の作品に登場する男性キャラはとくに魅力的で、一部のファンからは「いくえみ男子」と呼ばれ愛されている。彼らは“The 王子様”という感じではなく、飾りすぎないファッションや言動で、いつも女性たちの心をぐっと掴むのだ。思春期に“いくえみ作品”を読んで過ごした女性のなかには、この「いくえみ男子」が好きなタイプという人も少なくないだろう。
かくいう筆者も、いくえみさんにどハマりして、彼女の作品を買い漁った過去がある。大人に響く作品が多い彼女の漫画は、恋愛模様から家族、友人関係の描写までが繊細で丁寧に描かれており、1つの映画を見終わったかのような満足感を楽しめるのも魅力だと思う。
近年は、学生の恋愛ものから大人の恋愛を描いた作品へとシフトしているが、彼女が描く“大人な恋愛漫画”も、時代を超えて多くのファンを夢中にさせているようだ。
実写化作品が多いのも頷ける名作揃いの「いくえみ作品」たち。ぜひ未読の方は、この機会に読んでみてほしい漫画家の1人だ。
■ヒット作『先生!』の連載開始から27年! 名作を生み続ける人気漫画家・河原和音さん
生徒と先生の恋愛を描いた『先生!』が大ヒットし、人気漫画家の仲間入りを果たした河原和音さん。デビューは1991年で、『別マ』に掲載された読み切り作品『彼の一番好きなひと。』がデビュー作だった。
1996年に連載が開始された『先生!』は『別マ』を代表する作品となり、以降も同誌を中心に連載を続けている。
河原さんは学園恋愛ものを得意としているのだが、まっすぐな性格をした頑張り屋のヒロインが多く描かれているのが特徴だ。それもあってか、作品全体に“爽やかさ”があり、後味のいいピュアな作品を楽しむことができるのも魅力の1つだと思う。
『高校デビュー』や『青空エール』、『俺物語!!』など実写化された作品も多く、近年では2022年に『別マ』で連載中の『太陽よりも眩しい星』が「このマンガがすごい!2023」(宝島社)の“オンナ編”第8位に選出されるなど、今もなお最前線で活躍している唯一無二の女性漫画家だ。