■『BLEACH』藍染惣右介

 久保帯人氏による『BLEACH』(集英社)には、強いカリスマ性を持つボスキャラが登場する。それが藍染惣右介で、護廷十三隊の五番隊隊長という立場にありながら謀反を起こした大罪人だ。その強さや頭脳は他の隊長よりも秀でており、ラスボス級の存在感があるキャラクターである。

 そんな藍染をそばで狙っていたのが市丸ギン。彼はとある事情から幼馴染の乱菊のため、藍染に従うふりをしながら殺害の機会をずっとうかがっていた。最終的にギンは、じっと耐え続けた甲斐もあって藍染を「神殺鎗」で貫き、その内側にある毒によって彼の肉体に穴を開けることに成功する。このときは思わず「やった!」と口に出してしまいそうになった。

 刺された藍染はそのまま崩れ落ちそうになる……が、それと同時にチートアイテム「崩玉」の力が発動して一瞬で元通りに。しかも藍染は死に直面したことで、よりいっそう強大な力を得てしまったため、絶望としか言いようがない。ギンがどれだけ頑張ってきたか知っているだけに、復活の瞬間にはそれがすべて無駄になった気分を味わわされた。

 

 ボスキャラの肉体崩壊からの完全復活は、正直気持ちが萎えてしまう展開だ。しかしハードルが上がったことによって、その先どうなるのかが気になって仕方がない。そう考えると、あくまで読者の立場から言えば、絶望的状況もそんなに悪いものではないのかも……?

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