■『呪術廻戦』夏油傑
芥見下々氏による『呪術廻戦』(集英社)にも、圧倒的な力を持つキャラがいる。それが夏油傑で、本作の前日譚にあたる『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』のラスボスだ。本編にもその姿を現し、いまだ何事かを企んでいる様子である。
夏油はかつて呪術高専の生徒で、五条悟とともに活躍する実力者だった。しかし紆余曲折のすえ離反し、呪詛師となってしまう……。ちなみに、彼と五条の過去については、2023年7月から放送開始されるアニメ2期で描かれるそうだ。
彼が持つ術式(能力)“呪霊操術”は、降伏した呪霊を取り込み、思い通りに使うことができるというものだ。取り込める呪霊の数に制限はないうえ、呪霊の術式を発動するときはその呪霊自身の呪力を使用可能。手数の多さといい、燃費の良さといい、まさにチート級といえるだろう。
そんな夏油だが、『0』では特級呪術師の乙骨との戦いで敗北している。このとき彼は実に4400体以上もの呪霊を保有していたのだが、いかんせん相手が悪すぎた。“特級過呪怨霊・祈本里香”に取り憑かれている乙骨は、その影響で底なしの呪力を持っていたのだ。しかも他者の術式を模倣できるという、これはこれで反則なキャラである。さらに戦いの最中、乙骨は里香の本来の力を使いこなすことに成功し、見事勝利をおさめた。
乙骨は規格外の存在だったが、それ以外の呪術師であれば夏油をどう攻略すべきだろうか。単純に考えれば、夏油の所有する全呪霊以上の呪力があれば勝てるかもしれない……とはいえ、そもそもそんなキャラはほぼいない。それに夏油は一度にいくらでも呪霊を使えるため、対応するだけでも大変だ。ゆえに彼と戦う場合は、呪術師数人で立ち向かうのが必須だろう。
かつてのパンダと狗巻棘は未熟さゆえか、2人がかりで夏油に挑んでも歯が立たなかった。しかも本編時点の夏油は、諸事情でよりいっそう強大で厄介な存在となっている。
しかし現在活躍している呪術師たちは能力も個性も半端ではないので、そのメンバーで取り囲めば勝つことも可能といえる。それぞれに強大な力を持つ呪術師の協力体制……これができればいいが、一癖も二癖もあるのが呪術師だからそうはうまくいかないかもしれない。
敵から盗んだ能力を使用するキャラは、間違いなくボスキャラに近い存在だ。しかしそれと同時に、能力をたくさん持っているからといって必ずしも無敵とは限らない。ひとつの能力を極めた者や、能力者の結託によって敗北する可能性も十分にありえるだろう。