『ダイの大冒険』魔王軍に『HUNTER×HUNTER』幻影旅団…これなら入りたい?少年漫画の「悪の組織」の画像
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 漫画やアニメに登場する個性豊かな敵キャラクター。彼らの属する敵サイドは組織化されていることが多く、いわゆる「悪の組織」と呼ばれるそれらは、客観的に見るとルールや人間関係などが何かと大変そうだ。

 例えば大ヒット漫画『鬼滅の刃』ではファンの間で「パワハラ会議」と呼ばれる、鬼舞辻無惨による下弦の鬼たちの粛清シーンがあった。トップの者に気に入られないと何を言っても殺されるという横暴さや、有無を言わせない鬼舞辻無惨の迫力からはとてつもないブラック企業の匂いを感じてしまう。

 それでは逆に、「こんな条件なら入りたい」と思う漫画の組織はないだろうか。社会人が仕事を選ぶ際のポイントは福利厚生、自由度の高さ、仕事がラクそう、給料面の良さ、など色々あるだろうが、どうせならホワイトな組織に務めたいところ。今回はつい「入ってみたい」と思ってしまう、ホワイト労働環境の悪の組織を紹介したい。

■組織体系がしっかりした魔王軍

 まずは監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏による『DRAGON QUEST ダイの大冒険』に登場する魔王軍。一番の魅力は、組織図と指示系統がしっかりしているところだろう。

 大魔王バーン率いる魔王軍の組織の特徴は、コミックスにて序列がきちんと図式化されているところだろう。百獣魔団、不死騎団、氷炎魔団、妖魔士団、魔影軍団、超竜軍団という、大魔王6軍団と呼ばれる中間管理職がいて、それぞれ種族ごとに分類されたモンスターの上に立っているところもポイントが高い。

 基本的にはバーンが指示を直属の部下であるハドラーへ伝え、そこからハドラーが各軍団長に具体的な指示を出すというトップダウン方式。ピラミッドの最下層を支えるモンスターたちは種族ごとに軍団に属しているので、魔王軍の中で自身の特技を生かせそうだ。

 またバーンはハドラーに「3度までは失敗を許そう」と情状酌量の余地を見せたり、ダイの実力を認めて魔王軍へ勧誘することもあった。その行動はまさに理想のトップだといえるだろう。

 しかしそんなバーンにも失敗はあった。それはハドラーへの指示を飛び越して不死騎団のヒュンケルへ直接指示を下したことだ。これではせっかくのピラミッド式組織の良さが失われてしまう。しかしそれを差し置いてでも、魔王軍は組織としてはかなり働きやすいしっかりとした体系であるといえるだろう。

■現代的?自由度の高さなら幻影旅団

 続いては冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』の幻影旅団。クロロ=ルシルフルを団長に据えた盗賊集団で、組織としてはそれぞれの行動の自由度が高く、メンバー間の仲が良いところがもっとも魅力的だといえる。また、それゆえに組織の雰囲気も堅苦しくないところがなんとも現代的である。

 幻影旅団の初登場となったヨークシンシティで開催されたオークションでは、彼らはイベントを心から楽しんでいるようだった。またメンバーは各々が自由に行動している割には仲間意識が高く、ウボォーギンやパクノダが死亡した際には皆が怒りをあらわにしていたのも印象的だ。

 また「団長の命令は絶対」「団員同士の抗争は厳禁」「メンバーに何かあった際は、団長や団員の命よりも旅団の存続が優先される」など、組織の核としての決まり事がしっかり定められているのも分かりやすい。これらのルールも、基本的にはメンバーを信頼しているからこその自由度の高さだといえるだろう。

 実力はあるが堅苦しいのは苦手という人にとっては幻影旅団は最高の組織かもしれない。

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