アニメ『ガンダム』シリーズには多くの女性キャラクターが登場し、特にヒロイン的な立ち位置にいるキャラクターは非常に個性豊かだ。
ファンそれぞれに好きな女性キャラがいると思うが、シリーズ3作目『機動戦士ガンダムZZ』に登場したルー・ルカは、さまざまな魅力的な要素を兼ね備えるヒロインとして、放送から40年近く経った今でも人気がある。そこで今回は、ルーの人気について3つの観点から紹介したい。
■勝ち気な性格でチームを引っ張ったヒロイン
ルーはエゥーゴの正規兵で、本作第7話「ガザの嵐」で初登場する。研究開発施設兼自走ドック艦のラビアンローズから、ZZガンダムのパーツであるコア・ファイターを輸送する。
主人公のジュドー・アーシタを始めとするシャングリラの少年たちは、成り行きでアーガマに乗船した民間人のため、当初は軍律に関して衝突することも多かった。しかし、持ち前の明るさからすぐに打ち解ける。
このように勝ち気な性格のルーは、落ち込んでいる相手に対してやさしく励ますようなフォローはしない。妹のリィナが生死不明となったジュドーが激しく落ち込んだとき、叱咤激励して立ち直らせている。この精神的な強さがルーの魅力といえるだろう。
また、ルーは容姿端麗で、抜群のプロポーションを持つことも人気のひとつだろう。身長は176cmもあり、アーガマのなかでも背が高い。さらに、肩と胸元を大きく露出したセクシーな衣装は、作中でも大きく目立っていた。
紫色のロングヘアーで、状況によってサイドアップ・テールにすることもある。80年代に作られた作品で、そのときの実際の流行が反映されたキャラデザインだが、今見返しても非常におしゃれ。大人な雰囲気とかわいらしい雰囲気を併せ持った、魅力的なキャラだった。
■パイロットとしての技量も一流!
ルーはエゥーゴで少尉の階級を得ており、MS(モビルスーツ)戦闘においてはおもにZガンダムに搭乗する。Zガンダムは前作『機動戦士Zガンダム』で、主人公カミーユ・ビダンが搭乗していたMS。カミーユからジュドー、そしてルーに渡ってきた高性能MSだ。
そもそもカミーユは最高のニュータイプとして描かれており、そのカミーユに最適化されたZガンダムを乗りこなすのは並大抵のことではない。事実、精神を力に変えうるシステムのバイオセンサーは、カミーユでしか発揮されなかった。
しかし、ルーはZガンダムの基礎能力を十分に引き出し、激しい戦争を戦い抜く。それどころか、ジュドーの陰に隠れがちではあるがエース級の活躍を見せている。実力が伴っているところがルーのかっこいいところだ。
■作中でも多くの人に好意を寄せられる魅力
ルーは本作のヒロインとして、最終的にジュドーとともに木星へ旅立つ。しかし、作中ではネオ・ジオンの士官であるグレミー・トトや芸術家のジュネ・コクから言い寄られ、恋愛模様も多く描かれたキャラだった。
特に、グレミーは立場が大きく変わり、第三勢力の指導者となるもルーへの想いは常に抱いていたようだ。一方のルーにそんなつもりはまったくなく、しつこく言い寄ってくる男性にすぎなかった。そんな2人の決着は、最終決戦で幕引きを迎える。
グレミーとプルツーが搭乗するクィン・マンサにZガンダムが中破されるも、クィン・マンサがコクピットを開放した瞬間にわずかに動いたビームライフルでグレミーを狙撃する。そのときルーは「私のこと、好きだっていうの、忘れないよ……」と、初めて涙を流していた。切なくもあっけない終わりに衝撃を受けた視聴者も多かったのではないだろうか。
本作では主人公のジュドーが妹のリィナや妹のようなプルの世話を焼くシーンが多いため、ヒロインとしてのルーはあまり目立っていない。しかし、妹中心の生活を送っていたジュドーにとって、勝ち気な年上女性であるルーに惹かれたのは必然だったとも思う。サバサバしたかっこいい女性として描かれたからこそ、ガンダム史上"最強"ヒロインが誕生したのではないだろうか。