「チープ・トリック」に「トーキング・ヘッド」も…『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する癖の強い“最弱スタンド”3選の画像
『ジョジョの奇妙な冒険』4th Season 黄金の風 DVD-BOX

 1986年より連載が開始され、その独特な世界観で多くのファンを魅了し続けている荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』。作中に登場する特殊能力・“スタンド”を用いたバトルは本シリーズの大きな見どころとなっているが、なかにはあまりにもデメリットの大きい、とんでもないスタンド能力が存在する。とにかく癖の強い“最弱”スタンドたちについて見ていこう。

■“背中”だけは絶対に見られるな! 「チープ・トリック」

 第4部では日本の架空の都市・杜王町を舞台に、主人公・東方仗助らが町に潜む“殺人鬼”を追いかけていく。

 町には数多くの“スタンド使い”が登場するのだが、非常に弱く、しかしその独特の力で登場人物をおおいに苦しめたのがスタンド「チープ・トリック」である。

 赤ん坊のような人形の姿をしたスタンドで、本体は一級建築士の男性・乙雅三。このスタンドが特殊なのは、乙雅三自身はこの能力に気付いておらず、ただ漠然と“あるルール”に従い日々を過ごしているということ。

 そのルールとは“決して背中を見られてはいけない”……というもので、なんとこのスタンド、本体の“背中”を見た者に憑りついてしまうのだ。元の宿主は背中を見られた瞬間、肉を大きくえぐり取られ、全身のエネルギーを吸い尽くされることで、ミイラのように干からびて死んでしまう。

 殴る、蹴るといった物理攻撃はいっさいできず、“言葉”を用いて周囲に語り掛けることしかできない非常に弱々しいスタンドだが、前述のようなあまりにもシビアな“制約”のせいで憑りつかれてしまったら最後、まともな生活は送れなくなってしまう。

 また、このスタンドへの攻撃は、憑りついている人間へそのまま伝わってしまうため、別のスタンド能力を用いて引き剥がすことも難しい。

 彼に憑りつかれたら最後、壁や床、あらゆるものを駆使し“背中”を隠しながら生きていく、罰ゲームのような日々が待っている。憑りつかれた人間にとっては害悪でしかない、なんとも恐ろしいスタンドだ。

■どんな正直者も必ず“嘘つき”に!? 「トーキング・ヘッド」

 第5部は舞台をイタリアに移し、“スタンド”の力を身に着けたギャングたちの壮絶な戦いが描かれる。ひ弱ながらも、その特殊な力で主人公・ジョルノらをおおいに混乱させたのが、ディアボロ直属親衛隊・ティッツァーノの持つスタンド「トーキング・ヘッド」だ。

 人間の顔とタコのような触手を持つスタンドだが、そのサイズは非常に小さく、掌に収まるほど。実はこのスタンド、その小さな体を対象の“舌”に憑りつかせることで、初めて能力を発揮することができるのだ。

 その能力とは、対象に“嘘”の言動を取らせる……というもの。言葉はもちろん、ある程度の肉体行動についても、本人が思っていることとは真逆になるようにコントロールする。

 作中ではこの能力を使い、ジョルノの仲間の一人であるナランチャに嘘をつかせチームをかく乱。その間に相棒によってじわじわと攻撃を仕掛けていくという、チームプレイを見せつけた。

 正しいことを伝えられなくなる……と、ただそれだけではあるものの、一瞬のミスが生死を分ける緊迫した状況では思っている以上に効果を発揮する、なんともいやらしいスタンド能力だ。

 ただし、スタンドとしての戦闘能力が皆無なだけでなく、いわゆる“自動追尾型”でもないため、もしスタンドを直接攻撃されれば抵抗すらできず本体もやられてしまう。

 そもそも、舌に憑りつかせるまでが困難すぎるだろう。仲間の手を借りる必要があったりと、真価を発揮させるためにはさまざまな“仕込み”が必要であるという弱点も。“嘘”というその一点をどう使いこなすか……良くも悪くも、使用者のセンスが試されるスタンドだ。

  1. 1
  2. 2