ジャイアントロボのように音声認識のロボットもいれば、モビルスーツのように現実の兵器と運用方法があまり変わらないロボットも、またはそれ自体が生きているトランスフォーマーのようなロボットまで、これまでアニメではさまざまな巨大ロボットが描かれてきた。
銃撃戦や肉弾戦で敵たちとの死闘を繰り広げてきたこれらのロボットだが、中にはその強さを手に入れる代償に、厳しい制約を課された不便なロボットもおり、その設定が数々のドラマチックな展開を生んできた。今回は「不便さ」と引き換えに強さを手に入れたスーパーロボットたちを見ていこう。
■常に危険と隣り合わせな「ゲッターロボG」
『ゲッターロボ』作品に登場する「ゲッターロボ」の多くは、厳しい制約を課されている。多くのゲッターロボはゲットマシン単体での戦闘力は低く、「インベーダー」や「恐竜帝国」といった脅威と戦うことはできない。
合体がほぼ必須なのだが、その際に急激な加減速や方向転換によって凄まじいGが体に掛かることになる。まず、これに並の人間は耐えられない。さらに、合体には複雑でシビアな操作が求められる。たとえるなら、毎回、空中衝突寸前のアクロバット飛行をやっているようなものだろう。それを強敵と戦いながら、臨機応変にやらないといけないのだから、強靭な肉体だけでなく凄まじい操縦テクニックが求められることとなる。
数々の『ゲッターロボ』作品では平然と合体変形をやっているが、こうした選りすぐりのパイロットを3人集めなければいけないのだ。改めて考えると、かなりの制約を持つマシンと言えるだろう。
中でも「ゲッターロボG」は、必殺技もリスキー。「ゲッタードラゴン」の必殺技であるシャインスパークは、1回使用するだけですべてのエネルギーを使い切ってしまうのだ。外したり止めを刺し損ねたりすれば、敗北は必至なのである。おまけにシャインスパーク発動にはパイロットの3人が同時にペダルを踏む必要があり、10分の1秒でもタイミングにずれが生じた場合、不発に終わり、エネルギーだけ消費されることになる。もちろんエネルギーは全て使い切ってしまうので、タイミングを誤るだけで行動不能となってしまう。
このように「ゲッターロボG」は、総合的に見ても制約だらけのロボットで、その分「百鬼帝国」との戦闘の苛烈さが感じとれる設計となっている。
■召喚条件が厳しい「アクアビート」
アニメ『魔動王グランゾート』に登場する「アクアビート」も、厳しい制約を課されているロボットと言えるだろう。同作の味方側の機体である「魔動王」は、特定の条件下でそれぞれが魔法円を書くことで召喚するが、アクアビートは特に条件が厳しい機体だった。
主役機体となる炎の魔動王「グランゾード」は平坦な地面に向かって魔動銃を撃つことでプレートが円を描く。多少広さは必要となるものの、学校のグラウンドや大きめの公園程度の土地があれば召喚は可能だろう。風の魔動王「ウィンザート」は空に向かって弓矢を放つことで円が描かれる。必要なのは弓を引く強さと、風が強く吹いていることぐらいで召喚条件はゆるめ。
水の魔動王「アクアビート」はというと、円を描く「魔動独楽」を転がすために「波のない静かな水面」が必要となる。グランゾード同様にある程度の広さが求められるばかりか、海のような波だった水面ではダメで、召喚のためには湖のような穏やかな水面が必要。また機体に乗り込むためにも条件があり、回した独楽に乗って水面を走らないといけない。3つの魔動王の中で「アクアビート」は突出して不便である。
アニメ『魔動王グランゾート』の中でも、ほとんどが海で構成される第四エリアで、「波のない静かな水面」の条件のクリアが難しく、召喚する機会が少なかった。水の中が得意なのに海がメインの第四エリアで活躍ができなかったという不遇な機体となってしまった。