2023年冬アニメも注目作が続々とスタートし、さまざまな作品が話題を集めている。
恋人や兄弟やライバルなど、アニメではいろいろな二人組が物語を彩るが、相棒や仲間を意味する「バディ」が活躍する作品はいつの時代も人気が高い。2022年夏クールでは『リコリス・リコイル』の千束とたきなの二人が人気を席巻し、また1月からのアニメ『ポケットモンスター』ではサトシとピカチュウがその長い旅の終わりに向けて動き出した。
この冬はどのような二人が活躍しているのだろうか。今回は、今期アニメの中から切磋琢磨して目的へと進んでいく注目の「バディもの」を紹介したい。
■殺し屋バディのもと、突如始まった「子育て」
今期の「バディもの」として真っ先に思い浮かぶのがP.A.WORKSとニトロプラスがタッグを組んだ新作オリジナルアニメーション『Buddy Daddies』。
凄腕の殺し屋稼業を営む来栖一騎と諏訪零の二人には縁もゆかりもない「子育て」。突如4歳の少女を引き取り育てる羽目になった一騎と零のバディによる、子育てと仕事の両立を描くドタバタアクションコメディだ。
現在5話までオンエアされているが、二人が突如始まった子育てに向かい合っていく部分がメインで、タイトルにもなっている「バディ」部分はいまだ掘り下げられていない印象だ。一騎と零にはそれぞれ重たい過去があり、どういった経緯でともに殺し屋業に進んだのかなど、謎の部分が多い。
チャラそうな一騎と暗めな零。こういった関わり合いのなさそうな二人がなんらかの理由で行動をともにしているというシチュエーションに、さらに加わる子育て要素が果たしてどう絡むのか。今後の展開に期待がかかる作品だ。
■“転生×天才”魔法ファンタジー
続いては鴉ぴえろ氏によるライトノベルを原作とした「王宮百合ファンタジー」アニメ『転生王女と天才令嬢の魔法革命』。
前世の記憶を持ちながら魔法が当たりまえに存在する世界に転生したものの「魔法はつかえない」王女・アニスフィア(以下アニス)と、「天才的な魔法の才能」を持っているが不遇な境遇に立たされる公爵令嬢・ユフィリア(以下ユフィ)が未来を切り開いていく、女性同士のバディの活躍を描いた同作。
バディものでは「互いにかけている部分を補い合い、困難に二人で立ち向かっていく」という展開が胸を熱くさせるが、今作の二人はその王道を真っ直ぐと進む。話の筋がしっかりしていて作品全体のテンポもよく、“百合”部分は濃すぎず、無闇なイチャつきで話を中断するような展開もない。あくまでも物語の面白さの中にしっかり百合要素が組み込まれている作風なので、百合が苦手な人も楽しく見られる作品ではないだろうか。
二人がどのように、互いを補い合って進んでいくのか、至高の百合は力強いバディ作品足りえるのか、楽しみに見守りたい。
■高校生放送部バディの実況&解説
最後におすすめしたいのは、『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』だ。
発声練習のために高校放送部の二人が乙女ゲーム『マジカルに恋して』の実況プレイを始めたが、その声が何故かゲーム内のキャラに届いてしまい、どのルートをたどっても最終的には死んでしまう完全な悪役であるリーゼロッテの破滅フラグ回避に挑むという話。
その悪役令嬢リーゼロッテを助けようとしているのが、実況を担当する遠藤くんと、解説を担当する小林さんによる高校生男女バディだ。
アニメとしてはリーゼロッテのツンデレぶりにスポットが当てられるが、実況と解説でゲーム世界に関与していくという不思議なバディの役どころが面白い作品。そして二人の活躍だけでなく、遠藤くんが抱く小林さんへの思いが最終的に実るかどうかも、見守るべきポイントだろう。
異性、同性、年齢など様々な組み合わせの中で信頼と尊敬と、共通の目的に向けて切磋琢磨する「バディ」という関係性。萌えてもよし、ときめいてもよし、熱くなってもよし。さまざまな形のバディの二人の関係性を最後まで見届けたい。