雑誌で連載を追う“本誌派”と、単行本が発売されてからまとまったストーリーを楽しむ“単行本派”。好きな作品であれば、連載を追いながら単行本を集めることもあるかもしれない。楽しみ方は人それぞれで、また作品によって使い分けているという人も多いのではないだろうか。
本誌派にも単行本派にもそれぞれにしかないメリットがあるが、単行本派の楽しみとして挙げられるのが、“おまけページ”である。キャラクターの設定紹介やイラスト、読者からのお便りコーナーなど内容はさまざまだが、作者の個性が出ていてついつい気になってしまう。
そこで今回は『週刊少年ジャンプ』のなかから、“おまけページが魅力的な作品”をいくつかピックアップして紹介していく。
尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』の単行本には、“SBS”というコーナーが設けられている。これは「S:質問を B:募集 S:するのだ」の略で、その言葉の通り、読者から寄せられた質問に尾田氏が答えていくというもの。基本的にノリは軽めでおふざけから下ネタ、作者イジリまでなんでもアリだが、ときには真面目な質問も寄せられ、本編で明かされない裏設定が載せられていることもある。
キャラクターの誕生日や好物などのプロフィール、元ネタ情報、作中で省略されたネタの解説など、知ればもっと作品を楽しめる要素が盛りだくさんで、ファンにとっては見逃せないコーナーだといえるだろう。何気ない回答が本編の伏線となっていることもあり、何度でも読み返したくなってしまう。
おまけページを読者との交流の場としている例でいえば、空知英秋氏による『銀魂』も有名だ。本編でもギャグとシリアスの緩急で読者を魅了してきた空知氏だが、ただ質問に答えるだけのコーナーでもそのセンスを遺憾なく発揮している。読者もその秀逸すぎる返しを期待しているのか、本編の内容とは関係のない質問が寄せられることも多い。
「貸したゲームが返ってこない」「尊敬している人をアニメのキャラで答えるのはアリですか?」「二次元オタクってキモいですか?」などの質問に対し、真面目なのかふざけているのかわからないトーンで答える空知氏のコメントがクセになる。
回答の内容自体は理にかなっており、「なるほど」と思わされることもしばしばだ。本人いわく、それらしいことを言うのはすべてオチのための前フリとのことだが……。
また空知氏はすべての回答を筆ペンで手書きしており、そこもまた魅力のひとつだろう。“コメントを書く筆ペンを変えただけで(読者に)怒られる”という話もあるくらいなので、いかにこのおまけページが愛されているかがよくわかる。