「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」と言えば、2022年8月公開の映画『ONE PIECE FILM RED』の公開に合わせて発売された、作中に登場する歌姫・ウタが歌唱する曲を集めたアルバムのタイトルである。
“ウタウタの実”の能力者であるウタの歌は、2020年にシングル「うっせぇわ」でメジャーデビューを果たしたAdoが歌唱しており、「ウタの歌」では、中田ヤスタカやVaundyなど7組の人気アーティストが楽曲提供した豪華なアルバムとなっている。
作中でも堂々とした歌唱を見せるウタ。彼女の歌う「新時代」という曲は映画の主題歌にもなっており、ウタの望む“新時代”の内容とリンクした曲である。
このように主題歌と作品のストーリーがリンクしているアニメ作品では、視聴者は曲を聴くだけでワクワクでき、主題歌が愛される傾向にあると思う。そこで今回は、主題歌とストーリーがリンクしているアニメ作品を3つ紹介していこう。
■『進撃の巨人』のオープニング曲「紅蓮の弓矢」
主題歌がカッコいいと好評を博したのが、『進撃の巨人』だろう。2013年に発売されたオープニング曲「紅蓮の弓矢」は、曲中で叫ばれる「イェーガー!」という掛け声が、カラオケなどでも盛り上がると人気になり、ファンに愛される1曲となっている。
「Linked Horizon」のRevoは、この楽曲で自身初となるNHK紅白歌合戦への出場も果たしており、その年を代表する大ヒット曲となった。
そんな「紅蓮の弓矢」は、作品のストーリーと歌詞がリンクしており、アニメで描かれたオープニング映像の疾走感と歌詞を表示する演出が相まって、視聴者をワクワクさせる主題歌となっていた。
歌詞は人類と巨人との戦いを彷彿とさせる内容となっており、強大な敵に立ち向かっていく登場人物たちの熱い想いが表現されている。
冒頭で紹介した「イェーガー」という掛け声は「猟師」や「猟兵」を表すドイツ語だが、歌詞中では《狩人》という意味で用いられている。その一方、主人公の「エレン・イェーガー」の名前ともリンクしていることから、作品へのリスペクトも感じられる素晴らしい主題歌だと言えるだろう。
■『魔法少女まどか☆マギカ』のエンディング曲「Magia」
可愛い絵柄とは反対に、少女たちの過酷な運命を描く『魔法少女まどか☆マギカ』。それぞれのキャラクターが絶望と希望の狭間でもがく姿が巧みに描かれており、今もなお、多くのファンを虜にするアニメ作品だ。
そんな本作のエンディング曲「Magia」も、ストーリーとリンクしている。
ラテン語で「Magic(魔法)」という意味がある「Magia」。曲のタイトルからも分かるように、この曲も“魔法少女”たちの戦いを描いた本作にピッタリの主題歌となっている。
サビの冒頭の歌詞の一節は、まるで主人公・鹿目まどかを救うために孤軍奮闘していた暁美ほむらを表しているようで、思わずウルっときてしまう。
女性ボーカルユニット・Kalafinaの力強い歌声と、キャラクターが闇のなかをひたすら歩く映像が相まって、彼女たちに待ち受ける運命が平坦ではないことを示唆しているようにも感じる1曲だ。