今年で連載開始から25年を迎えた、尾田栄一郎氏による人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』。この作品では手に汗握るバトルが熱いが、ちょっと変わった戦闘でも私たちを楽しませてくれる。この記事では、そんなバトル3選を紹介したい。
※以下には、コミック『ONE PIECE』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■「Mr.プリンス」VS「Mr.0」の対面なしの頭脳戦
まずはアラバスタ編で「Mr.プリンス」こと麦わらの一味の「サンジ」が、アラバスタ乗っ取り計画を企むバロックワークスのボス「Mr.0」こと「サー・クロコダイル」を出し抜いて味方を救ったエピソードを紹介したい。
紆余曲折ありつつも、麦わらの一味はレインベースへと到着。打倒クロコダイルのため、彼がいるカジノ「レインディナーズ」へと乗り込むが、先に着いたルフィ・ゾロ・ウソップ・ナミと一味を追っていた海軍本部大佐のスモーカーは、能力者の能力を封じる“海楼石”の檻に閉じ込められてしまう。
そこに連れられてきたビビ。クロコダイルはあざ笑いながら国の内戦を誘発した事実を告げ、檻がある部屋を1時間で水没させる仕掛けをして立ち去ろうとする。肝心の檻の鍵は、バナナワニという獰猛な巨大ワニに食べられてしまっており、ビビは鍵を取り戻したくとも、歯が立たないという絶望的な状況……。
そこへ、Mr.プリンスと名乗るサンジからクロコダイルのもとへ連絡が入る。サンジだと気づいて喜ぶ一味だったが、サンジは電伝虫越しにクロコダイルの部下に捕まってしまう様子を見せた。Mr.プリンスの居場所を聞き、とどめを刺すために立ち去るクロコダイルだったがーーしかし実は、これはすべてサンジの作戦だった。
サンジは自分を餌にクロコダイルをカジノの外におびき出し、チョッパーを囮にしてその場から引き離し、悠々と仲間を助けに行くことに成功する。
普段は無類の女好きとしてのイメージが強いサンジだが、最後まで顔を見られることなく強敵を出し抜いた彼のクレバーで策士な一面はまさに「プリンス」でカッコ良かった。
■デービーバックファイト「ドーナツレース」でテンポ良いバトル
次に紹介するのは、デービーバックファイト編の「ドーナツレース」だ。デービーバックファイトとは、仲間を取り合う“人取り合戦”のことを指すが、それを知らないルフィはフォクシー海賊団船長の「フォクシー」からのゲームの申し出を受けてしまう。
その第1回戦目が、自分たちで作った船で島を一周する妨害ボートレース「ドーナツレース」だった。銃・大砲・爆薬など凶器は何でも使っても良いというルールで、麦わらの一味からはナミ・ウソップ・ロビンの3人が参加するも、いざレースがスタートするとすぐに観覧席から激しい妨害が。しかし「ナミさん達に何しとんじゃコラァ!!!」と、サンジも負けずに参戦。無事に麦わらチームはレースに没頭し始めた。
このエピソードではウソップが空島で入手したダイアルや、ナミの航海士の知識、ロビンのおちゃめな場面などがテンポ良く描かれ、コメディ感あふれる楽しいバトルが繰り広げられていた。超人的な強さを持つルフィ・ゾロ・サンジらが出場しなかったからこそ見られたドタバタ劇だったのかもしれない。
結果的にはゴール直前でフォクシーに妨害され、惜しくも負けてしまったのだが……。ここまでポンコツぶりしか目立っていなかったフォクシーが、まさかの「ノロノロの実」の能力者だったと判明したことも、予想を裏切られて面白かったところだ。