12月7日、双葉社が運営するマンガアプリ「マンガがうがう」がリリースから2周年を迎えた。このタイミングを盛り上げようと、企画会議を重ねるアプリチーム一同。その場で、チームの一人がボソッと呟いた。
「結局、異世界マンガで最強のチート能力って何なんだ……?」
この一言をきっかけに議論が白熱したものの、その場で決着がつくことはなかった。そこで後日、この問いに答えを出すべく、マンガ編集者や電子書籍ストア書店員など異世界マンガの識者6名に集まっていただいた。激論の末に導き出された「最強チート能力」とは……?
<今回の座談会に参加した異世界マンガ「チート能力」推薦者>
●株式会社双葉社のAさん(以下、双葉社・Aさん)
異世界系コミックス・ノベルス編集者。異世界系ライトノベルをこよなく愛する。
【推薦するチート能力】「吸喰能力(アブソープション)」
(『Re:Monster』(アルファポリス)より)
●合同会社DMM.comのNさん(以下、DMM・Nさん)
電子書籍ストア「DMMブックス」のSEOチームでチームリーダーを務める。
【推薦するチート能力】「即死能力」
(『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 -ΑΩ-』(アース・スター エンターテイメント)より)
●株式会社ブックウォーカーのHさん(以下、BW・Hさん)
スマートフォンアプリ・Webサービス「ニコニコ漫画」や「次にくるマンガ大賞」の運営を担当。
【推薦するチート能力】「スコップ波動砲」
(『スコップ無双 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ』(KADOKAWA)より)
●株式会社ブックウォーカーのMさん(以下、BW・Mさん)
電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」でマンガの販促を担当。
【推薦するチート能力】「捕食者」
(『転生したらスライムだった件』(講談社)より)
●株式会社Link-UのIさん(以下、Link・Iさん)
マンガアプリ「マンガがうがう」のエンジニアを担当。
【推薦するチート能力】「大賢者」
(『転生したらスライムだった件』(講談社)より)
●株式会社Link-UのAさん(以下、Link・Aさん)
マンガアプリ「マンガがうがう」の開発管理・数値分析を担当。
【推薦するチート能力】「バフ・デバフ能力」
(『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』(双葉社)より)
■それぞれが持ち寄った「最強チート能力」
――まずは、皆さんが推薦する異世界マンガの「最強チート能力」をプレゼンしてください。
BW・Hさん いきなり邪道っぽくて申し訳ないですが、『スコップ無双 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ』で主人公が使う「スコップ波動砲」。スコップからビームが出ます(笑)。スコップにはいろいろな能力があるんですが、ひとまずメインの「スコップ波動砲」を挙げさせてもらいました。この世界では「スコップ」がとにかく無敵。相手がどんな能力者であっても、スコップの前ではすべてが無効化されてしまうんです。
――スコップ!? それはまたスゴイものがチート化するんですね……。ちなみに、作品名はこれが正式名ですか?
BW・Hさん そうです。これ、人に勧めるとよく聞かれるんですが、顔文字や「ドゴォォ」まで全部でワンセットです。
双葉社・Aさん なろう系ではこういう変わったタイトルの作品が多くて、書籍化される際に修正されることもあるんですが、これはそのまま行ったパターンです。よくこれを通したなって、当時騒然となった覚えがあります。
――一度見たら忘れられないタイトルですよね。では、次はブックウォーカーのMさん、お願いします。
BW・Mさん 僕は『転生したらスライムだった件』の「捕食者」を推します。生物を捕食して、その生物の能力を自分のものにしてしまう。初期は弱くても、成長したらこれが最強ですね。
Link・Iさん うわ、『転スラ』被りしたなあ。僕は「大賢者」の方です。「捕食者」で獲得した能力を解析して自在に使用できるっていうチートさに無限の可能性を感じます。ただ、作品内でちょいちょい計算外のことも起きているので、そこがマズいですね。
――『転スラ』の人気が凄いですね……。そして、Link-UのAさんは『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』から選んでいただきました。
Link・Aさん いろいろ能力がある中で、『文豪ストレイドッグス』(KADOKAWA)で太宰治が扱う“異能を無効化”する「人間失格」が最強だと思っていたんですが、今回は異世界系の作品からということで『雑用付与術師が~』を持ってきました。この作品の主人公が使う「バフ」と「デバフ」がけっこう万能で、話の始まり方も面白いんですよ。勇者パーティから「お前はいらない」と捨てられるところから始まるんですが、実はパーティにバフをかけて強くしていたのは主人公なんですよね。それだけ強い能力ということです。
DMM・Nさん 私は『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 -ΑΩ-』の主人公が使う「即死」です。「死ね」と言ったりあるいは思ったりするだけで、どんな相手でも、それこそ相手の能力まで殺してしまう。“強すぎてどうしよう”レベルの能力です。欠点を挙げるとすれば、無差別にやることで目立ちすぎてしまうし、ちょっとイラっとしただけで殺しちゃうので……けっこう倫理観が必要になるという(笑)
――聞くだけでヤバそう! 最後になりましたが双葉社のAさん、どうですか?
双葉社・Aさん いやいや、僕の推しも負けてないですよ。僕が選んだのは『Re:Monster』の主人公ゴブリンが使う「吸喰能力(アブソープション)」です。選考基準として、その能力だけで強くなれるものにしました。この能力さえあれば最弱の人でも絶対強くなれるという能力。ひたすら食べるだけで、しかも無機質のものでもオーケーで、伝説の剣を食べてパワーアップすることもできる。麻痺耐性、毒耐性とかの耐性系も全部取れる、という感じですごく強いです。欠点は、「捕食者」と同じで“初期が最弱状態”という点ですね。その時点でやられたら一巻の終わりです。