■娘の夢を陰ながら応援する『耳をすませば』月島靖也

『耳をすませば』からは主人公・月島雫の父親である月島靖也を紹介しよう。彼は図書館で司書として働いているが、郷土史家としても活動している。母・朝子とは正反対ともいえる性格で、静かで多くを語らないものの実は隠れた名脇役だ。

 そんな靖也の“イケオジ”ぶりを象徴するような名シーンがある。

 雫が成績を大幅に下げ、学校から呼び出しをもらう朝子。その夜、雫と両親で話し合いが行われたが、朝子は思わず頭ごなしに雫を責めてしまう。

 実はこのとき雫は、ヴァイオリン職人を目指して頑張る天沢聖司の姿に触発され、自分も夢を叶えるため、勉強そっちのけで物語を書き上げようとしていたのだった。しかし、雫は両親にそのことをまだ伝えておらず、何をしているのか聞かれても答えようとはしない。どうしても口を割らない頑なな娘の様子を見て、靖也は優しく「雫のしたいようにさせようか、母さん。ひとつしか生き方がないわけじゃないし」と、妻に語りかける。

 実は、熱心に何かに取り組む雫の姿を図書館で目にしていた靖也。「何か」はわからずとも、必死に頑張る娘の生き方を応援しようとしたのだ。そして「雫。自分の信じる通り、やってごらん。でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。何が起きても、誰のせいにもできないからね」という名言を残すのだ。

 この両親のあと押しもあり、雫は見事物語を書き上げて一歩前に進むのだが、このときの靖也の対応が「心に刺さる」と多くの人の感動を呼んだ。一方的に叱りつけるのではなく、娘を尊重して陰ながら見守る靖也。“イケオジ”であるのはもちろん、ジブリ屈指の“いいお父さん”として、これからも多くの人から愛されるだろう。

 

 ジブリ作品には敵や味方問わず、魅力あふれるキャラクターが多い。そんなキャラたちが作中で放つ名言には、見るたびに心を揺さぶられてしまう。これもまた、ジブリ作品の見どころの一つだろう。

 今回紹介したキャラ以外にも、隠れた”イケオジキャラ”は多くいる。自分好みのイケオジを見つけてみてはいかがだろうか。

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