■10万ヤードの狙撃を可能にした赤井秀一の計算
次は青山剛昌氏による『名探偵コナン』に登場するFBI捜査官の赤井秀一だ。
赤井の射撃の腕は折り紙つきで、FBIの中でも伝説になるほど。そんな彼は、昨年公開された映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』で10万ヤードの狙撃を成功させている。
10万ヤードは日本の単位に直すと約91km。とんでもない距離だが、劇中で赤井は新名古屋駅から、山梨付近を時速1000kmで走行中の真空超電導リニア内にいる犯人に向かって狙撃した。
ここで疑問が浮かんでしまうのが、10万ヤードもの距離を弾丸が飛び続けることができるのかという点。赤井はそれを承知で、真空のトンネル内では空気抵抗が起こらないことを計算に入れていた。さらに超電導リニアは電磁力で動くので、通常の弾丸では磁力の影響を受けるとされ、銀の弾丸を使用することも狙撃を成功させる鍵となった。
射撃の腕だけではなく、常人離れした頭脳を持ち合わせているところも赤井のすごさだ。
■相手の弾丸に当てて軌道を変えた次元大介
最後はモンキー・パンチ氏による『ルパン三世』に登場する次元大介の神業だ。次元は0.3秒の早撃ちで有名なガンマンで、愛用銃は「スミス・アンド・ウェッソン M19」のコンバットマグナム。どんな局面でもこの銃があれば乗り越えられるという自負がある。
そんな次元が自らの銃を信じていたからこそ見せた神業テクが、映画『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』の終盤で行われた次元と殺し屋・ヤエル奥崎との一騎打ちで描かれた。
互いに構えて風が止むのを合図に銃を抜いて相手を狙う……相手よりも速く銃を抜き、いかに正確に狙いを定めるかが鍵となる。二人の銃を比較すると、ヤエルの愛用する改造銃は精度と速さを追求するため口径が小さく軽い。一方次元は、ハイパワーであるが口径が大きく重い「M27」を携えていた。早撃ち勝負では次元が不利だった。
実際に、ヤエルのほうが銃を抜くのが速かった。わずかに次元が遅れて撃つと、ヤエルの弾が次元の頬をかすめる。次元が負けたのかと思われたが、次の瞬間にヤエルの左腕には次元の銃弾によって穴が空いていた。
次元は自らの銃弾のほうが大きいということを利用して、あえてヤエルの銃弾に当てて軌道を変えたのだ。しかも次元の銃弾はほぼ軌道を変えずに狙いを外さなかった。次元がヤエルの銃の性能を考えて選んだ作戦だが、相手の弾丸を狙って撃つなど誰にもできない神業だろう。
これら奇跡に近い確率の仕事をサラリと成功させるところがクールで、他のキャラにはない魅力がある。これからも今回紹介したキャラたちにファンのハートを射抜いてほしいところだ。