■怪盗紳士の殺人:蒲生剛三
ルノワール国際絵画展大賞に輝いた名画「我が愛する娘の肖像」を描くなど世界的に有名な画家・蒲生剛三。彼の名画を盗むという怪盗紳士からの予告状が届き、金田一一行が「我が愛する娘の肖像」のお披露目パーティーに向かったところから事件は始まった。
その殺害方法は、徐々に死が近づいてくる彼の恐怖心を煽る形で、非常に残忍に描かれている。突然、殴られて気絶させられた後に、リムジンに押し込まれ、視野を奪うために両目を潰されてしまうのだ。そして意識を取り戻した彼は、なんとか助けを求めようと金田一に電話で助けを求めた直後に撲殺されてしまうのだった。
すぐに殺されるのではなく、両目を潰されて放置された挙げ句、助けてもらえるかもしれないという期待を抱いた直後に襲われる恐怖。その絶望感は計り知れない。
■蝋人形城殺人事件:リチャード・アンダーソン
犯罪心理学者として名を馳せているイギリス人・リチャード・アンダーソン。ドイツの古城「バルト城」で開催されたミステリーナイトツアーに、明智警視とともに金田一も参加したしたところから事件は始まった。
その殺害方法は、多くの読者に間違いなくトラウマを植えつけたであろう方法で描かれている。それは殴られて気絶させられた後に、有名な拷問・処刑道具である「アイアン・メイデン」に入れられ、内部に設置してある無数の針で全身を貫かれるというもの。さらに、死亡後には心臓を杭で打たれ、遺体となっても犯人のトリックに使われたのだった。
アニメ版ではあまりに残酷な殺害方法だったため、撲殺に変更されたほど。ミステリー漫画史に残る凄惨すぎた死亡者と言えるだろう。
『金田一少年の事件簿』には、トラウマになるような殺害方法で殺されてしまった凄惨すぎる死亡者はまだまだいる。
こうした凄惨な犯行は、犯人なりの理由や犯行のトリックのために行っているため、「なぜ、こんな殺害方法なのか?」と推理しながら読み返してみると新たな発見があり、楽しめるだろう。2022年に30周年を迎えた『金田一少年の事件簿』。この機会に一度、読んでみてはいかがだろうか。