■あたたかい絵柄に癒される『猫の菊ちゃん』

 湊文氏『猫の菊ちゃん』も、ツイッターで公開されていた日常漫画が書籍化された作品である。単行本は全2巻発売中。おじいさんとおばあさんと、ある日保護猫カフェからやってきた三毛猫の菊ちゃんの日常が描かれている。エピソードはおばあさんが、絵はおじいさんが担当して漫画にしているそうだ。

 おじいさんとおばあさんは菊ちゃんのかわいさにとにかくメロメロ。家族や知り合いに写真や動画を見せるだけでは飽き足らず、もっと広く伝えたいという思いからツイッターでの投稿を始めたのだという。そんな背景からも分かる通り、作中の描写からは2人の菊ちゃんに対する優しいまなざしが伝わってくる。やわらかな線で描かれたイラストも相まって、読んでいるとほっこりとした気持ちになれる。リアル菊ちゃんの写真が載せられているのもまたうれしい。

 引っ込み思案で甘えん坊な菊ちゃんと、そんな菊ちゃんに愛情をたっぷり注ぐ夫婦の日常。エピソードひとつひとつが心に染み、読むたびやさしい気持ちになれるはずだ。

■老猫との穏やかな生活にほっこり『じじ猫くらし』

 ふじひと氏による『じじ猫くらし』は、ツイッターとイラストコミュニケーションサービス・pixivで話題を呼んだ猫漫画。単行本は全1巻発売されている。著者のふじひと氏と12歳になった“じじ猫”の暮らしがテーマの日常漫画だ。全編オールカラーで、暖色を中心とした色づかいで描かれていることもあって、イラストを眺めているだけで心があたたかくなる。

猫の表情のデフォルメ具合が絶妙で、ごはんが欲しくて目をキラキラさせたり、寝ぼけてシパシパまばたきをしたり、満足げにニッコリと目を細めたりと、どんな瞬間も可愛くて胸キュン。立ち姿や寝姿、ブラッシング中に“ツチノコ”と化す姿など、猫らしいポーズの数々も巧みにとらえている。

 作中では“じじさま”になった現在の姿はもちろん、まだ子猫だった頃のエピソードも出てきて、彼の変わらない部分や変わった部分に思わず頬がゆるむ。長年一緒にいるからこそ培われた、1人と1匹の信頼関係や愛情も伝わってきて、なんてことない一場面にもじーんときてしまった。

 気まぐれな行動に振り回され、ちょっと間の抜けた動きにクスリとさせられ、全力の愛情表現に喜びを感じる。猫が好きな人なら、読みながら「今すぐ猫をモフモフしたい……!」とムズムズしてくるような猫漫画を紹介してきた。猫にもいろいろな子がいるので、身近にいる猫の姿を思い浮かべながら読んでみるのも楽しいかもしれない。

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