■CLAMPが脚本に参加した原作にはない展開も楽しめた

 最後は1993年から1996年まで『なかよし』(講談社)で連載されていたCLAMPによる『魔法騎士レイアース』。アニメは1994年から1995年まで放送された。

 同作は修学旅行中に偶然出会った3人の女子中学生が異世界へ飛ばされ、そこで異世界「セフィーロ」を救うための旅に出るというストーリー。少女向け作品でありながら剣に魔法、巨大ロボットなどファンタジー要素にあふれた内容で、ストーリーも単なる勧善懲悪ものではないシリアスなテーマを含んでいた。

 アニメでは原作者であるCLAMPのリーダーである大川七瀬氏も脚本に参加しており、原作とは異なるストーリーが展開。特に一度主人公の光らが世界を救った後の物語が描かれる第2章の展開が原作漫画とは大きく異なっている。また、原作では死亡しないキャラがアニメでは死亡したり、オリジナルキャラクターが登場するところも大きな違いだ。

 その理由は、原作漫画がコミックス6巻で終了する駆け足展開なのに対し、アニメは1年間3か月もの長期間にわたって放送されていたことが挙げられるだろう。しかし原作、アニメどちらも上手くまとまっており、作品の完成度は高い。漫画とアニメ、パラレルワールド的に楽しむこともできそうだ。

 いずれも大人気となった90年代の少女漫画原作アニメたち。スポンサーによるおもちゃの展開や放送期間の調整など、うまい辻褄合わせは多々あれど、どのアニメも心をときめかせる魅力に溢れており、製作陣の作品愛を感じさせるものばかりだった。この時期のアニメは、大人になった今でも大切にしたい思い出となって心で輝き続けている。

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