『SLAM DUNK』板倉、河辺、沢北…読んで思わずムカッと! ライバルたちの“挑発的言動”を読み解くの画像
映画『THE FIRST SLAM DUNK』 (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 SLAM DUNK Film Partners

 新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開を今冬に控え、ファンの期待が高まる一方の『SLAM DUNK(スラムダンク)』!1990年〜1996年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されて以来、多くのファンの心を魅了しているバスケット漫画の名作だ。

『スラムダンク』といえば生々しい試合の描写も魅力のひとつ。白熱しすぎるあまり、挑発行為ともとれる言動をするプレーヤーもいるのだが、戦う上でそうした心理的駆け引きが功を奏した場面があるのも否めない。そこで今回は、読んでいるこちらも思わずムカっときた、ライバルたちの挑発的言動をご紹介したい。

■豊玉の板倉大二朗「ボン」「ボボォン!!」

 インターハイ1回戦、主人公の桜木花道がいる湘北は大阪代表の豊玉と対戦するが、血の気が多いチーム同士ということもあって試合は大荒れに。選手も応援団もガラが悪いのだが、中でも、ポイントガードの宮城リョータとマッチアップした豊玉2年の板倉大二朗の言動には、とにかくムカッ!とさせられるものが多かった。

 168cmと小柄な宮城に対し、板倉は183cmという身長差。前日ぶつかった時から、「おっとと!」「見えんかったわ」とジャブを放つと、試合中には「おうおうチビの相手もラクやないで!!」「ヒザつかんとカオが見えへんやんケェ!!」などと、これでもかとばかりに宮城のコンプレックスでもある「身長」をいじってくるのだ。

 また、宮城のディフェンスを押し切ってシュートを決めた際には、尻もちをついた宮城を見下ろしながら、親指を下に向ける“サムズダウン”の仕草を見せ「ボン!!」と一言。後半に入ってからもシュートを決めた後に「ボボォン!!」と、またも親指を下に向けて挑発し、見下したような態度を取っている。

 顔も性格もしつこいタイプ(!?)の板倉。ただ、大阪予選の個人得点第3位に選ばれており、綺麗なフォームでスリーポイントまでこなす実力者でもある。仲間思いでもあり、キャプテン南の不調を心配して声をかける一面も。良くも悪くも「勝ち」にこだわる豊玉スタイルにマッチした選手であることは間違いない。

■山王工業の河田雅史「あれっ?」「いたのか」

 インターハイ2回戦、湘北は日本一の強豪校「山王工業」と対戦。一時は20点もの大差をつけられた湘北は、ここから桜木が大活躍。安西先生の指示通りにオフェンスリバウンドを取りまくり、スリーポイントシューターの三井寿をアシストして10点差まで詰め寄った。

 ここで山王工業を率いる名将・堂本監督は、湘北にいいリズムを生み出しているのが桜木だと見抜き、高校界屈指のセンター河田雅史に桜木のマークにつくよう指示。

 桜木は、そんな優れたプレーヤーが自分のマークについたことに嬉しそうな顔を見せ、「はっはっはっ 死ぬ気でかかってこい 丸ゴリ!!」「それでも この天才は止められまい!!」と調子に乗る。すると、河田は「うはは!」「わかった!!」と、不敵な笑みを浮かべ、その次のリバウンドで競り勝ち、桜木を吹っ飛ばす。そして「あれっ?」「いたのか」と、桜木にとって屈辱的な一言を発するのだ。

 とはいえ、河田の言動はなぜか憎めない。桜木の能力を認めた上でわざと挑発し、むしろ成長させようとしている気すらしてしまうのだ。事実、桜木が背中を負傷すると、敵の中では誰よりも早く異変に気づき「無理はいかんぞ赤坊主…」「お前には将来がある」と、アドバイスまでしている。

 あくまでもスポーツマン精神を持った河田。1年間で25cmも背が伸び、ポジションを変えられるたびに相当な努力を続けてきた名プレーヤーだからこそ、嫌味すらかっこよく聞こえるのかもしれない。

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