■そもそもアイドル声優って?
そもそもアイドル声優の概念とはなんなのか。実はこのワード自体にかなり認識の差があると感じていて、だからこそアイドル声優論争がたまに起きるのではないかと考えている。“アイドル”と“声優”の単語の間に、何か意味が隠れているのではないかと考えた。
●アイドル(並みのルックスを持つ)声優
これは年々増えているのでは!? 最近の若い声優さんはかわいい子が多い! と思う人も多いかもしれない。ただこれ、私的には声優に限らず最近の若い子はみんなかわいくて完成されてる、と感じるのだ。
街中や電車で見かける若い女の子、かわいい子がとても多い! 安価で高クオリティな化粧品の進化、写真慣れしていて他人から見たときにどういう印象になるか、とてもよく理解しているように感じる。ネットの普及もあって、かわいくする技術の情報取得もみんなが簡単にできる。目立つ容姿の人をアイドル声優と呼ぶにしても容姿の好みは人それぞれの感性であるはずだ。
●アイドル(のような歌唱活動をする)声優
これも多い! みんな歌って踊れる! アイドルだ! と、思うかもしれない。だが声優による歌唱イコール「アイドル歌唱活動」ではないと思う。声の仕事の一つに歌があるなかで、声優アーティストとアイドル(のような歌唱活動をする)声優の違いはなんなのか。
人前で披露するかどうか? 歌のジャンル? ダンスがあるかどうか? 衣装が派手かどうか? ミルキィホームズのライブでは作品のキャラクターと同じ4色のまぶしい探偵服を声優4人が常に着用し、歌って踊っていた。このとき「アイドル歌唱活動だ!」というご意見を耳にしたりもした。もしこれが、いつも白のシャツに黒いパンツ、スタンドマイクで歌い、ライブ中のMCもほとんど無かったら、アイドル歌唱活動だと言われなかったのだろうか。「ミルキィホームズは本格アーティスト」だったかもしれない。
明確な線引きがない中で、どこにアイドル性を感じるかどうか、これもまた受け取り手に委ねられるわけだ。たぶんアイドルファンから見たら「こんなのアイドルじゃない」と思われるだろう。
●アイドル(役を作品で演じている)声優
アイドル役としてのキャラソン歌唱、作品としてのリアルライブが行われると、たちまち中の人もアイドル活動をしていると認識される場合が多い。作品ファンの方はその仕組みを理解できても、そうでない方々からするとアイドル役なのかアイドルなのかその境界はますます曖昧なようだ。作品とキャラクターのために集まった声優なのに、そこが逆転してしまうような場合もあるだろう。
あたりまえだが作品への出演がないと声優にはなれない。私は作品とキャラクターが愛されることが1番だと考えている。そして作品は、視聴し受け取るだけでなく、リアルに体験することができるようになった。
「視聴者が自分から作品に関わりにいく」という能動的な要素がアニメのエンタメ性をぐっと広げる。作品ファンの体験要素がどれくらいあるか、はけっこう重視されている気がして、聖地巡礼、ライブ、作中の食べ物やアイテムは買えるか、作中のスポーツは観に行けるかなど、あったらうれしいポイントではないだろうか。
少しそれたが、アイドル役を演じ実際にライブで披露することもあくまで作品を体験してもらうことの一部でしかないと思うのだ。
■「声優であり、アイドルである。」と宣言するi☆Ris
こうしていろんな解釈が考えられる「アイドル声優」だが、i☆Risちゃんは自らを「声優であり、アイドルである。」と堂々うたっているのだ。もともと、アイドルと声優どちらも両立するハイブリッドユニットとして結成され、本当にどちらも高レベルでこなす姿は尊敬しかない。アイドルとしてのi☆Risライブでは歌もダンスもファンサービスも圧倒的で、どのメンバーも推したくなる。一方では、キャラクターとしてライブに出演することも多く、キラッとプリ☆チャンのライブで共演したときはもちろんi☆Risとしてではなく個々の声優として参加しているのだ。
作品やキャラクターのイメージを損なわない変幻自在で丁寧なパフォーマンスは、今は声優としてステージに立っているというブレない気持ちがあるからなのだろう。アイドルと声優どちらも両立させ、どちらにも真摯に向き合うハイブリッドユニット。やはりi☆Risしか勝たん!と改めて思った。