アニメ『ルパン三世』シリーズや『未来少年コナン』『パンダコパンダ』の作画監督で知られるアニメーターの大塚康生氏が3月15日に亡くなった。89歳だった。
同日東京・池袋にて行われた「東京アニメアワードフェスティバル2021」の授賞式で、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが発表。アニメ創成期から活躍した大塚氏に師事した業界人やファンのクリエイターも多く、彼らから続々と哀悼のメッセージが寄せられた。
人気キャラクター「リラックマ」の生みの親であるイラストレーターのコンドウアキ氏は16日、ツイッターに「パンダコパンダ大好きでした。ありがとうございました…」と投稿。愛らしい筆致で描かれた親子パンダの『パンダコパンダ』のイラストを公開し氏を悼んだ。
新人アニメーター時代に大塚氏に師事したという『新世紀エヴァンゲリオン』キャラクターデザインの貞本義行氏は「技術的な事ではもちろん 考え方とか趣味とか 色々影響を受けました 本当にお世話になりました ありがとうございました ご冥福をお祈りします」とコメント。
また『ワンパンマン』の作画担当で知られる漫画家の村田雄介氏は、5つのツイートにわたる長文の投稿で、大塚氏への感謝を述べていた。「『客は細かいところなんて見ないし知らないんだからいい加減でいいんだ、なんていう姿勢は物作りする人間として最低ですから』と。大塚さんの色々な仕事やエピソードを追っていくと本当にその姿勢を貫徹されていて、物作りかくあるべきとずっと心に残っていました」と、大塚氏の仕事の姿勢から学んだという。
また大塚氏といえば、軍用車両に造詣が深くジープマニアとしても有名。プラモデルメーカー・タミヤのRCカーやミニ四駆、ミリタリーフィギュアなどのデザインを手がけた過去もあり、タミヤの公式ツイッターも「タミヤの歴史に欠かせないとても大切な恩人のおひとりです。本当にありがとうございました。これからも私たち模型業界を見守っていただけます様に」とコメントを発表した。
ほかにも元スタジオジブリの米林宏昌監督やアニメーターの平松禎史氏など、哀悼のコメントは列挙にいとまがない。アニメファンからも「(ルパンの)不二子がかっこよくてかわいくてセクシーで一番好きでした」「大塚康生さんの作画は夏休みの午前中の味がした」「大塚康生がいなかったら、多分高畑勲も宮崎駿も今のようになってはいない」と、あらためて彼の作り上げた作品の数々を噛み締めたようだった。