■雲の上のオーフェンが下界に降りてきた!?
――今回のアニメ化、森久保さんは20年前から引き続きオーフェン役となりました。今、再び彼を演じることに、新しい感触はありましたか?
森久保 それはもちろん。前回のアニメ化は20代半ばくらいのときだったんですよね。一言一句間違いなく同じ原作なんですが、この歳になって読むと印象がまた違ってくるんです。当時はオーフェンに対して等身大でシンクロし、彼を主観的に見ていたと思います。僕自身が年齢を重ねた今は、そこに対して俯瞰の視点が加わって、オーフェンへの印象はずいぶん変わりましたね。主観で見ていた20年前は大人な青年だと思っていたんですが、俯瞰で見ると、意外にそうでもない。未熟な部分も多く、その葛藤と戦っている男なんだというのが見えてきたんです。改めて気づいた人物像を俯瞰的に捉えて、気持ちはやっぱり主観的に。芝居ではそういうアプローチを考えました。
――小林さん、大久保さんは、『オーフェン』にどのような思い出がありますか?
小林 僕と『オーフェン』の出会いは、当時聴いていたラジオに入ってきたCMなんです。「我は放つ、光の白刃!」というセリフが流れて、「めっちゃカッコイイ! なにこれ!?」って思ったんですよ。それからアニメを夢中で見始めて。そんな出会いだったもので、第1話のアフレコは一人で感動していました。森久保さんのそのセリフを生で聴いて、「ああ、オーフェンがここにいる」って思って(笑)。
大久保 それ私も思った! 一人じゃないよー!
小林 ここにもいた(笑)。
――大久保さんは小学生の頃から原作を愛読しているという、筋金入りの『オーフェン』ファンだそうですね。
大久保 もう本当に大好きで、オーディションに受かったときはいつも以上にうれしすぎました。オーフェンは森久保さんと聞いていたので、そうするとマジクのキャストさんが気になるじゃないですか。「誰かな~?」って。「この人、マジクっぽいな」って、妄想ラインナップを作っていたんですけど、その中に小林くんも入っていたんですよ。マジクが小林くんと聞いたときは、「私のキャスティング能力、間違ってないな!」って思いましたね(笑)。
小林 それ、僕にとってはうれしい話だったんですよ。キャストが男性に変わることに、僕自身が一番とまどっていたんです。オーディションに合格したわけだから尻込みする必要はないと思っても、『オーフェン』ファンからどう思われるか、不安はあったんです。でも、そのファン代表みたいな人にそう言ってもらえたおかげで、自信を持ってアフレコに臨めるようになったんです。
森久保 引き継ぐというのは大変だよね。プレッシャーがあったのはすごく分かるよ。
――お二人にとって森久保さんはどんな存在ですか?
小林 「こんな座長でありたいな」っていう、懐の広さのある方です。場を引っ張っていきつつ、分からないことがあれば僕らに普通に聞いてくださるんです。先輩ですし、以前からのオーフェンなのに、そういう目線なく接してくれるところはすごく格好いいなって思います。
大久保 他の現場でもそうで、とても気さくな方です。自分が子どもの頃からその声を聴いている“雲の上の人”みたいな存在なのに、わざわざ下界に降りてきて、下々に気軽に話しかけてくれるなんて。
森久保 そんなイメージなんですか(笑)。
大久保 いいんです! これはオタク的な視点なんです!(笑)
――大久保さんは、現場で“『オーフェン』好きすぎてトーク”みたいなのはありましたか?
大久保 現場にはファンであるというのは置いて、役者として立っていました。と言いつつ、なにか聞かれると、話しているうちに「へへ、えへへ♪」みたいに上がっていってしまうのはありましたね。森久保さんから「これでよかったんだっけ?」みたいなことを聞かれると、「ええ!? オーフェンがオーフェンのことを私に聞いてきてる!」って、うれしくなって。なんかもう、よくないですね、こういうファンが現場に紛れ込んでるの(笑)。
森久保 なんかね、本人必死に隠しているつもりだったんだろうけど、ダダ漏れだったよ(笑)。
小林 でも偉いなと思ったのは、絶対に自分からは話さない。なにかきっかけがないと。そこにプロ意識を感じました(笑)。
大久保 ありがとうございます!!