高速・大容量フラッシュメモリとAI技術、そして人間とのコラボレーションにより、漫画の神様・手塚治虫の新作を作るという、まさに手塚漫画の世界の中のようなプロジェクト「TEZUKA2020」が始動した。
その新作漫画『ぱいどん』(2月27日発売の『モーニング』講談社にて掲載)のお披露目イベントが開催され、多くのマスコミが駆けつけた。
もしもいま手塚治虫が生きていたら、いったいどんな未来を漫画で描くだろう? という素朴な疑問からスタートしたこのプロジェクト。その新作漫画の舞台は、2030年の東京。高度管理社会に背を向ける記憶喪失のホームレスで哲学者のぱいどん。その謎の男が難事件を解決していくという物語だ。
この日の会場には、今回のプロジェクトメンバーである手塚眞とAI関係者、そしてゲストには漫画家で、公益法人日本漫画家協会会長であるちばてつや氏と、第22回(2018年)『大家さんと僕』(新潮社)で手塚治虫文化賞短編賞を受賞したカラテカ・矢部太郎が登壇した。
「みなさんご存じの通り手塚治虫は42年間にわたり、700点以上の作品を残しております……(プロジェクトの)中心になるのは70年代です……」
冒頭に手塚氏が今回のプロジェクトにあたってデータ化した漫画について語った。
続いてAIと人間とのコラボ作業を振り返り『ぱいどん』という漫画が誕生するまでに試行錯誤しながら行われた、興味深い作業工程も披露された。
それはまず、手塚漫画の短編作品131編と、長編60作品のストーリー構成を類型化したパターンをAIに入力することから始まったという。さらに『ブラックジャック』や『三つ目がとおる』などの漫画に登場したキャラクターの顔も学習させるなど、漫画制作では前代未聞のものとなった。
「こういうふうにプロットを立て、大変勉強になるなと」
と、AIとの共同作業によるプロット制作について新鮮な驚きとともに感想を語った矢部。このほか会場では、実際にAIロボットが作画する実演も行われ、会場の注目を集めた。
そんな新しい漫画文化の船出ともいえる会見の模様、そして、実際ロボットによるキャラクター作画の様子は動画にてご覧ください。ロボットによる作画シーンはなかなか衝撃的!