■「鉄の城」誕生にもつながった「合体」という発想

 一般的に『デビルマン』の前身作品として見られがちな『魔王ダンテ』だが、実はもう1つの永井豪氏の代表作とも共通性がある。それがロボット作品の金字塔『マジンガーZ』だ。

 永井氏は、過去のインタビューで「(巨大なロボットに搭乗する発想は)自動車の渋滞を見て思いついた」と語っていた。そして、その発想の源になったのが『魔王ダンテ』であることも明かしている。

 ダンテの復活時、食われて取り込まれた涼の顔が、怪物(ダンテ)の額にそのまま露出して現れるという強烈なビジュアルがある。これはまさに、ロボットのコックピットとなるホバーパイルダーが、マジンガーZの頭部に合体する「パイルダーオン」の構図そのものだ。永井氏はそのインタビューの中で、「(マジンガーに)“乗り込む”という要素の原型も『魔王ダンテ』だった」と語っている。

 巨大な怪物の頭部に人間が位置し、圧倒的な力を我が物として操るという『魔王ダンテ』のイメージが、そのまま『マジンガーZ』へと昇華されたのである。


 永井豪という天才が生み出した『魔王ダンテ』という作品は、『デビルマン』という一大叙事詩の礎となり、さらに『マジンガーZ』という日本のロボットアニメを象徴する作品にまで枝分かれしていった。

 通算3000号を迎えた『週刊漫画ゴラク 2026年7/17号』の表紙を、永井豪氏の新作『地球大戦2053』のイラストが飾った。マジンガーZ、バイオレンスジャック、鋼鉄ジーグ、ゲッターロボなど、永井豪作品を象徴する有名キャラが並ぶ中、その頂点にはダンテらしき姿が大きく描かれているのも感慨深い。

 多くの永井豪作品を通じて『ダンテ』の偉大な足跡に触れた時、55年前に放たれた魔王の咆哮から始まったのだと、あらためて実感させられるのだ。

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