面白いのに話題にならない…Tシャツに埋もれた『Tokyo middle 30』を全力で布教したい【かんそうの週刊ドラマレビュー】の画像
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 人気ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。今回取り上げるのは、フジテレビ系で毎週水曜日に放送中の『Tokyo middle 30』。仲里依紗、のん、深川麻衣が演じる3人の女性を描く恋愛ヒューマンドラマです。刺激的な話題作が並ぶ2026夏ドラマにあって、ドラマ通のかんそうさんが「観て損なし!」と断言する理由とは!?

 

 地方から東京に出てきた高校時代のズッ友3人が、35歳の今、それぞれ違う現実に直面しながら自分の人生を模索するドラマ『Tokyo middle 30』(フジテレビ系)。

 テーマが地味すぎるのか、「フジ水10」という放送枠が悪いのか、周りで誰も見てないんですが面白いので本当に観てほしい。殺人も不倫もタイムリープもない、ただ35歳の女3人が「あの頃の未来と違う」ってモヤモヤしてるだけで、こっちの人生まで見直させられるの何なんだよ。

  専業主婦で子持ちの麻紀(仲里依紗)、アパレル店長で夢破れた遥(のん)、小学校教師で同棲4年目の彼氏と結婚に踏み切れない薫子(深川麻衣)。まず、この3人の化学反応が異常にいい。

 仲里依紗の「キャリアを手放した未練と母親としての焦り」が自然に染みてくるし、息子の発達の不安を抱えながら夫に相談しても受け止めてもらえないシーンなんかは、声を荒らげる瞬間が本当にリアルで「この人、役じゃなくて本物の35歳の魂入れてるだろ」って疑う。息子を見つめる目や、ふとした瞬間に浮かぶ「私の人生これでいいのか」みたいな表情が、演技というより生活そのものに見える。

 のんのふわっとした勢いで人生を突き進む感じも妙に愛おしくて、計画性ゼロのまま大人になった「はるきゃん」の孤独や焦りが、店長としての日常や新しい出会いでのぎこちなさからじわじわ伝わってくる。合コンや客との会話でふと見せる「このままでいいのかな」みたいな脆さが、ふわふわしたキャラの中にちゃんと埋まっててうまい。

 深川麻衣も控えめなのに「気を使いすぎて自分を後回しにする脆さ」がじわじわ出てくるのが良い。表情の機微だけで「察してちゃん」の苦しさが伝わってくるのが凄い。言葉少なに相手の空気を読んでしまうところや、自分の本音を飲み込んで笑顔を作る瞬間が、見ているこっちまで息苦しくなるくらい自然。

 この3人の演技がちゃんとうまいからこそ、掛け合いが説明臭くならずに「本物の友情」っぽく見えてるのがこのドラマの最大の強み。カラオケで昔の曲熱唱するシーンとか、演出的には恥ずかしさの極みなのだが、なぜか「この3人なら許せる」と思ってしまう。

 周りを固める男性陣の良さもかなり効いてる。

 渡辺大知の宗司が意外といい味出してる。美容クリニックを経営する夫で、麻紀のキャリア復帰願望を一蹴する瞬間は「はいはい、典型的な無理解ね」って思わせつつ、息子のADHD・ASD診断を少しずつ受け入れて協力的になる過程が地味に胸に刺さる。日常のさりげない仕草や「他人事みたい」な態度から徐々に変わっていく姿がリアルで、ただの悪役にせずに「わかるけどイラッとする」塩梅を上手に演じてる。

 風間俊介の義孝もハマりすぎてる。仕事優先で同棲4年目なのにプロポーズに踏み切れない彼氏役で、いつまで経っても縮まりきらない距離感と、薫子の不安をどこか受け流しがちな空気が自然に出ている。「口に出して言わないけど面倒なことから目を背けたい」と思ってる顔をするのが本当にうまい。最近になって状況が動いても、その本質が簡単に消えないところが人間臭くていい。

 この2人が脇を固めてるから、全体の人間関係に血が通っている。他の脇役たちも、過剰にキャラ立てせず、ちゃんと生活の延長にいる感じで、全体のバランスを崩さない。派手な展開はほとんどないのに日常の延長でポロッと崩れるところが静かな緊張感を生んでて、『Tシャツが乾くまで』的なじわじわ煮詰まる感じがある。

 脚本がキャラクターを操ってる感じが薄くて、3人の選択や迷いがちゃんと人間臭く見えるのだ。メッセージがドカドカ来すぎず、視聴者を信用してるのが伝わってくる。「35歳はこうあるべき」とか「こう生きろ」みたいな説教を一切しない。

 ただ「今」を生きてる彼女たちの横顔を見せて、あとはこっちに考えさせる。主題歌であるふみの『東京』も、物語の空気にぴったり寄り添ってて、エンドロールで余計に沁みる。キラキラした東京じゃなくて、ちょっと疲れる、でもまだ少し希望を残した東京の匂いがする。

 冒頭でも書いたように放送時間帯が最悪なのと、テーマが地味すぎるせいでトレンドにも上がらず、周りで「観てるよ」って言う人がゼロなのが逆に悲しい。でもそれが今の地上波で一番貴重な「静かに面白い」枠になってる。

 誰も観てないからこそ、俺がここで『Tokyo middle 30』を布教したい。35歳じゃなくても、自分の「あの頃の未来」と現在のズレを少しでも感じたことがある人なら、どこかに刺さるポイントはあるはず。毎週水曜の夜に、静かに自分の人生を見つめ直す時間として良いドラマです。

 以上、Hokkaido middle 30でした。

 

■著者プロフィール
かんそう
ドラマを愛するブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

 

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