■怪異×日常の新感覚オカルトコメディ『令和のダラさん』
次に紹介する『令和のダラさん』は、ともつか治臣氏の同名漫画を原作とするオカルトコメディアニメ。半人半蛇の体と6本の腕を持つ怪異・ダラさん(屋跨斑)と、三十木谷(みそぎや)日向と薫の姉弟の交流を描いた作品だ。
第1話は不気味な伝承や土砂崩れで壊れる祠、そして禍々しい姿のダラさんが登場し、不穏な事件が起きそうな雰囲気から始まる。ところが物怖じしない性格の日向と薫はダラさんを、まるで近所のお姉さんのように扱いはじめ、怪異と子どもたちによるにぎやかな日常が描かれていく。
ダークな雰囲気から意外な展開となった一方、ダラさんが巫女として生きていた時代の回想シーンでは、双子の姉・椿の裏切りで凄惨な殺され方をするなど、身の毛もよだつホラー描写も登場。矢継ぎ早に訪れるコメディとホラーの応酬に、SNSでは「どんな世界観なん?」「温度差がすごすぎる」と、物語の振り幅に驚く声が寄せられていた。
第6話では、特撮や漫画の「ビーム」に憧れる薫が、ダラさんに自分も撃ちたいと頼み込むほほ笑ましいエピソードが描かれた。一方、連休を利用した旅行先では日向が悪霊と遭遇し、怪異譚としての不気味さもしっかり盛り込まれている。
「令和の怪異」をユーモラスに描きながら、時折本気で怖がらせてくる独特の作風が、今期の異色作として注目を集めている要因といえるだろう。
■思わせぶりな一言から始まる、まさかの溺愛『いびってこない義母と義姉』
最後に紹介するのは、おつじ氏による漫画が原作の『いびってこない義母と義姉』だ。名家の庶子である主人公・中村美冶が、母の死をきっかけに本家の鴻蔵(こうのくら)家へ引き取られるところから物語は始まる。
妾の子が義理の母や姉と一緒に暮らす……と聞くと、執拗にいじめられる展開を予想することだろう。実際に美冶も、義母や義姉たちに憎まれていると思い込み、「どんな仕打ちも受け入れよう」と覚悟して鴻蔵家へと向かった。
ところがそこで待っていたのは、予想を裏切る手厚いもてなしの数々。義母の鴻蔵てるや義姉のまりか、ありさは、美冶をいびるどころか入浴の世話をしたり、洋服を用意したりと至れり尽くせり。
第4話では、まりかが美冶に「あんたいい加減家を出るべきだと思わない?」と、追放とも受け取れる言葉を投げかける。丁稚奉公に出されると勘違いする美冶だったが、それは美冶に外の世界を知ってもらうため、叡報女学園へ通うよう勧める言葉だったのだ。
いじめられると思ったら優しくされる……という、本作ではお決まりとなった展開に「タイトル通りなんだけど知ってるのと違う(笑)」「こういうのがいいんだよ」「なんだこのアニメ面白ぇ」と、思わぬすれ違いを楽しむ視聴者の声が相次いだ。
義理の家族から「いびられる」というお約束を逆手に取り、家族の優しさを笑いと温かさに変えてしまう異色のハートフルコメディから目が離せない。
2026年夏アニメには、従来のジャンルの定番をくつがえす、奇抜な世界観の異色作がそろっている。いよいよ後半戦に差し掛かる夏アニメだが、紹介した作品が今後どのような展開を見せるのか引き続き注目したい。


