■異文化の細部まで忠実再現…『天幕のジャードゥーガル』が圧倒的な高評価!
夏アニメは新作も好調で、原作マンガらしさが海外で再評価されている『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』や、過激描写で話題の『ヤニねこ』、オリジナルアニメとして毎週のように考察が巻き起こる『さよならララ』といった人気作が話題になっている。
そんななか、複数の海外ランキングで首位を獲得し、圧倒的な高評価を得ているのが、トマトスープさんの同名漫画を原作とする『天幕のジャードゥーガル』だ。
13世紀初頭のペルシアで暮らす少女・シタラが、モンゴル帝国の侵攻によって大切な人々を奪われ、受け継いだ知識を武器に帝国を内側から崩壊させようとする歴史作品。「Anime Corner」では第2週ランキングで1位を獲得し、海外アニメチャートサイト「Anime Trending」では第4週ランキングの首位に立った。
復讐劇としての衝撃的な展開も目を引くが、13世紀ペルシアの建築、さまざまな形のヒジャブ(イスラム教徒の女性が髪や首元を隠すためにまとうスカーフ状の布)の描写など、当時の文化を細部までリアルに描いた点が海外勢にも高く評価されている。
第5話では、同じくモンゴル帝国への恨みを抱く妃・ドレゲネが本格的に登場し、盛り上がっている。「イスラム教徒としてこの作品に最大のリスペクトを捧げる」「美しい映像だけど胸が痛むね」「物語、アニメーション、テンポ全部最高だよ!」と、アニメとしての完成度の高さを称賛する声が目立っていた。
また、中華風の後宮を舞台とした『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』も、海外ランキングで安定した人気を誇っている。「Anime Corner」では、ランキング初登場となった第2週で2位を記録し、第4週まで3週連続でTOP3を維持した。
次期妃候補として周囲から愛されている病弱な少女・黄玲琳と、悪女として嫌われている朱慧月の体が入れ替わるところから始まる物語。従来の後宮作品や悪役令嬢ものとは異なる展開が好評を博し、逆境すら前向きに乗り越える玲琳の姿に、海外ファンから「今期ナンバーワン主人公だね」「好きにならずにいられない」「なんて魅力的」「全財産を彼女に捧げるよ」といった声が寄せられている。
■日本が誇る伝統文化「能」は海外にどう映った?
そして、ランキングだけでは測り切れないかたちで高い評価を得ているのが『ワールド イズ ダンシング』だ。
本作の舞台は、南朝と北朝の争いが続く1374年。猿楽を舞う観世座の座頭・観阿弥の息子として生まれ、のちに能を大成する世阿弥となる少年・鬼夜叉が、「なぜ人は舞うのか」という疑問を抱きながら、新たな舞を形作っていく物語である。
日本人でも知らない人が多い題材を扱った作品だが、アメリカのレビューサイト「But Why Tho?」では、第1話終盤で暗闇のなかで舞う白拍子を目撃する場面について、「優れた絵コンテとアニメーションによって、舞う人間の肉体や感情が強烈に表現されている」と評した。
その他のレビューサイトでも、室町時代の“猿楽”という、海外にはなじみの薄い題材を、父親と息子の関係という分かりやすいドラマを通して描いている点に注目。とくに体の動きや映像の変化によって舞の魅力を伝えた第1話には、海外ファンからも「息をのんだ」「悪魔的な舞だったよ」「ほかに見たことがない!」といった反応が寄せられている。
今回紹介した作品以外にも、海外コミュニティで上位を維持している『正反対な君と僕 Season 2』や、大人向けの日常劇として声優陣の演技や登場人物の距離感が評価されている『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』なども海外勢から注目を集めている様子。終盤に差しかかるにつれて、海外での評価がどのように変化していくのか最後まで見守りたい。


