【女性編集者が選ぶ「妖艶なる悪役キャラ」6】城田優が魅せた「憂いを帯びた怪演」、切なさすら感じた「悪に染まりきれない苦悩」『亜人』田中功次の画像
城田優  写真/ふたまん+編集部

 人気漫画やアニメの実写化作品において、主人公の魅力と同等、あるいはそれ以上に作品の成否を分けるのが「悪役」の存在だ。圧倒的な強さや独自の信念を持ち、主人公の前に立ちはだかる姿は、時に主役を食うほどの強烈なインパクトを残すことがある。

 とりわけ近年話題を集める大ヒット実写映画やドラマでは、ただ恐ろしいだけではなく、男性ながらどこか魅力のある“色気”のある悪役たちも登場している。

 特に女性なら、そんな影のある男性キャラに惹かれてしまう人も少なくないのではないだろうか。正義の主役とはまた違う、悪役ならではの妖艶さに釘付けになってしまうのだ。そうした彼らの魅力は、演じる実力派俳優たちの役作りと、身を削るような熱演によって生み出されているのだろう。

 そこで今回は「ふたまん+」の女性編集者たちが、漫画の実写化作品から、思わず息を呑むような「色気のある悪役男性」をピックアップ。その魅力に迫っていきたい。

(第6回/全8回)

※本記事には作品の内容を含みます

 

■ボロボロに傷ついた姿からあふれ出る哀愁 『亜人』田中功次役:城田優

 2017年に公開された、桜井画門さんによる大ヒット漫画の実写映画『亜人』。本作は、交通事故をきっかけに、絶対に死なない新人類「亜人」であることが発覚した主人公・永井圭(佐藤健さん)と、国家転覆を目論む最凶の亜人テロリスト・佐藤(綾野剛さん)との終わりなき戦いを描いた作品だ。

 この壮絶なバトルアクションにおいて、佐藤の右腕として強烈な存在感を放っていたのが、城田優さん演じる田中功次である。

 田中は国内で2例目に確認された亜人で、国家に捕らえられて非人道的な人体実験の被検体にされ続けたという凄惨な過去を持つ。その後、佐藤によって救い出されたことで彼と行動を共にし、人間への深い憎悪を原動力にテロ活動に加担していく役どころだ。

 まず観客を圧倒したのは、城田さん自身の身長190cmという恵まれた体格から生まれる、凄まじい威圧感と凶暴性だ。その体躯でパワフルに暴れ回る姿は、日本映画の悪役としては規格外のスケールを感じた。

 しかし、悪役としての田中の魅力は、単なる強さや暴力性だけではない。凄惨な虐待を受けたことにより、悪に染まるしかなかった彼の内なる葛藤だ。その根底には、彼本来の普通の若者としての人間らしさが消えずに残っており、苦悩するのである。

 城田さんは、田中の役作りについて、「すべてが難しく毎日のように悩んだ」という。監督と相談しながら、少ない表情やセリフ1つまでとことんこだわり、「単に人間へ復讐したいのではなく“これは本当に正しいことなのか?”と葛藤する亜人」を作り上げた。

 このアプローチにより、田中の瞳には常に悲哀と迷いが揺らめく。悪でありながら、どこか救いの手を差し伸べたくなるような、切ない色香が彼の全身から醸し出されていたように思う。

 そんな城田さんの魅力が爆発するのが、亜人管理委員会のボディガード・下村泉(川栄李奈さん)との決闘シーンだ。

 身長差およそ40cmという男女の肉弾戦は、一見すれば田中が圧倒的に有利に思える。しかし、大振りで容赦なく攻撃を仕掛ける田中は、泉のすばしっこい動きと巧みな関節技に翻弄され、次第にダメージを蓄積していく。

 ナイフで泉を何度も刺す描写は残酷だが、そこには同じ亜人でありながら人間側についた泉への嫉妬や羨望も垣間見え、この戦いの中でも田中の悲哀が滲み出ていた。

 この撮影は朝から夜中まで2日間にわたって行われ、城田さん自身が「後半は記憶がないくらいボロボロだった」と振り返るほど過酷なものだったという。

 だが、その身を削るほどの本気のアクションだったからこそ、見る者の心は揺さぶられたのだろう。端正な顔立ちと圧倒的なフィジカルを持ちながら、泥臭くあがく城田さん演じる田中の姿勢はとてもドラマチックで、多くの観客の心を鷲づかみにした。

 

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